HISTORY & STORY

7.31.1998

北穂高東稜

アルプスの楽しい岩稜登り 北穂高東稜
アルパインクライミング気分が手軽にあじわえる
 
East ridge in Kitahotaka
 
1998-7-31/8-2
メンバー 川崎博 糸尾汽車

8-1
 滝谷で岩登りを、とはりきってでかけたが天候不良でいまいち。と
はいえ北穂高東稜をのぼり翌日かけおりてきて、足腰のトレーニン
グにはなりました。納涼も。
上高地からのんびり歩き、風呂限界の横尾山荘泊。
8-2
 6時に山荘をでて、9時まえに涸沢小屋着。南稜の夏道をいきハシ
ゴの手前のガラ場から東稜をめざす。ガラガラとのぼり尾根にで
る。先ほどまでみえた前穂の北尾根がガスにかくれ、あたりもガス
模様。
 忠実に稜線をたどる。安全のためにロープを2回ほどだす。ゴジ
ラの背はスリル満点。高い山のうえで岩登りをするのは気分がよ
い。そんなに難しくないところでもいいのだ。ゴジラの背の最後で
懸垂下降する。あとは150メートルほど急登をのぼると北穂の小
屋にでる。ガスであたりは何もみえない。
 ドーム中央稜取り付きまでの下降路を見にいく。ドームを過ぎて
クサリ場をおりたところ。バツ印のあるほうへ下る。ガスと風の
中、2、300メートルほどくだるとステンレスのボルトのある懸
垂下降地点にでる。ルートがわかったので小屋にもどる(懸垂距離
は25メートル内とのこと。)信毎の高沢記者などがいる。去年屏
風をのぼったあとヒュッテであったのがちょうど1年前というわけ
だ。夜はにぎやかだった。
 小屋の小山若主人によれば東稜は、いいルートです。ゴジラの背
をすっかり巻くこともでき、だれでも楽しめる、とか。最後の懸垂
下降も手前右手からラクラク歩いて下降できるそう。
 小山さんは『北穂の小屋はもともとクライマーの小屋です。歓迎
します。きてください』とおしゃっていました。そんなことをいっ
てくれるところが他にあるだろうか。北穂小屋をベースに滝谷を登
りほうだい、なんてクラシックでアルパインでいいではないか。飯
もうまくて有名、ココんちは。
8-3
 未明から、なんと雨。梅雨あけがおくれているのは聞いていた
が、そろそろと狙ってきたのに、今回ははずれらしい。明日も好天
は望めないとのことで、さっさと下山。次回の楽しみのココロだ。

7.23.1998

カナディアンロッキーの夏休み

CLIMBING IN CANADIAN ROCKY

カナディアンロッキーの夏休み
ひとりであちゃこちゃ登った

CLIMBING IN CANADIAN ROCKY
 

member 黒川晴介

1998-8、9
クラシックルートを登る
 バンクーバーで車を借りて、2日後にはキャンモア町営キャンプ場ですっかり落ち着いていた。キャンモアはバンフ国立公園の境界を少しでたところに発達した小
さな街だ。
 キャンモアの着いて1週間は体調が悪く、山に登れなかった。疲れが出て、カゼをひいてしまったらしい。天気は毎日最高だ。やれやれ。 どうにか体調も戻って
きたので、まずアシニボインに登ることにした。別名、カナディアン・ロッキーのマッターホルン。
 登山届けをバンフの公園事務所に出して、翌朝キャンプ場を出発する。ひとりで山に登るなら登山届けを出さないと、誰も探しに来てくれないので、これは重要な
事だ。

Mt.アシニボインを登る
 7月23日。ベースのアシニボイン・ロッジまでは、よく整備されたハイキング道で、7時間くらいだ。ここからさらに2~3時間登るとR.C.Hind Hut
が使えるが、ロッジ近くのキャンプ場からでも充分1日で往復できそうなので、ここで泊まることにした。
 7月24日。朝明るくなってから出発する。小屋までも少し岩場があった。稜に取りつき、ガレ場を適当に登る。
 前半はスクリーの登りだが後半は少し岩登りらしいところもあり、楽しい。途中で堅い雪や、氷も出てきたが、クランポンは使わず、ステップを切って登った。
 頂上から少し雪稜が続いているが、眺めはたいしたことはなかった。周りを氷河の山々に囲まれていないからかな?
 キャンプ場に戻り、ラーメンを食べて出発する。車までは25�ぐらいだ。最後はうす暗くなってきて、熊の出現にビクビクしながら歩くことになった。ああ疲れ
た。でもハイキング道は、ゴゼンタチバナやイチヤクソウ、オダマキがいっぱい咲いていてきれいだったな。

Mt.アサバスカへ
 7月28日。Mt.アサバスカへ行く。本当はMt.テンプルに行こうとしたら、公園レンジャーにグリズリーが出るから今はダメだと言われてしまった。こわいなあ、も
う。
 まあ、そういうわけでアサバスカに行くことにした。朝、暗いうちにキャンモアを出発した。アサバスカはコロンビアアイスフィールドにあり、キャンモアから車
で3時間ぐらいだ。 すっかり明るくなって、駐車場から歩きだす。雪がやわらかくなる前に下山したいけどちょっとムリみたいだ。途中でガイドパーティやメキシ
コの学生たちを追い越した。
 少しクレバス地帯を通ったけど、なんとか通貨して、頂上稜線へ出る。Mt.アンドロメダの眺めがすばらしい。
 写真を撮るとさっさと下山にとりかかった。雪がやわらかくなると、クレバス地帯はますます怖くなる。いざ下降を始めると歩きやすくて、頂上から1時間半ほど
で車まで戻ることができた。
 振り返るとアサバスカが、少し前に自分がいたことが信じられないくらい立派に見えた。

Mt.ビクトリア、Mt.レフロイを
 7月31日。レイクオハラまでのバスは予約制だ。僕が最後の乗客だった。昔、スクールバスだった黄色のオンボロはゆっくり林道を登ってゆく。レイクオハラは保
護のために1日につき2台のバス以外は、林道を3時間歩かないと行くことができない。
 Abbot Hutまでは3時間ほど。1920年代に建てられた石造りのすてきな小屋だ。ここまで泊まりに来るだけの人もいる。Mt.ビクトリアとMt.レフロイ
のコルにあり、ベースとして人気がある。
 8月1日。昨夜の雨が朝になっても降っている。昼過ぎまで待って出発するが、雷雲が少し怖い。岩場はたいしたこともなく、すぐ稜線に出た。クランポンをつけ
て頂上まで長い稜線を進んだ。途中で少しレイクルイーズ側も見えて、左右に立派な湖を見ながら歩くのは楽しかった。
 雷が怖いので頂上で写真を撮ってさっさと下る。最近はひとりのときは、頂上で「バンザイ」と言いながら両手を上げるが、これはなかなか気分がよい。
 小屋には4時前に戻り、早い夕食をとって寝袋に入った。
 8月2日。今日はすばらしい天気だ。レフロイの西壁に取りつく。雪壁はだんだんきつくなり、しかもかなり氷の部分があった。クランポンの前爪が半分も刺さら
ない。
 簡単だろうと思い、シングルアックスしか持たなかったので、頂上の少し下で敗退することにした。もちろんロープも持っていなかったので、登りの10倍ぐらいお
そろしいクライミングダウンになった。
 せっかくシャモニーで軽く小さいアイスバイルを買ったのに、車のトランクに入ったままだ。ロープを持って行かないならせめて、アックスは2本持って行こう。
 帰り道、バスの出発まで時間があったので林道を歩いていると、パークレンジャーが車に乗せてくれた。

Mt.エディスキャベルも
 8月20日。8月後半はずっと天気がさえない。ビクトリアに登ってから一度山に出かけたけれど、ルートがわからず敗退したので、ずいぶん山に登っていない気が
する。
 今日も頂上はガスの中だ。でも明日からまた天気が悪くなりそうなので、行ける所まで行くつもりで出発した。
 駐車場でお茶を飲んでいると、7時半になってしまった。だんだん早起きできなくなってきたし、怠け癖が出てきたようだ。
 東稜取りつきのコルで、先行パーティに追いついた。簡単な岩登りをまじえ、肩に出る。少しスノリッジを歩き頂上への岩場に取りつく。はるか下に駐車場が見え
る。
 頂上への岩場は気分がよかった。頂上は再び雪稜で少し雪庇が出ていた。ガスの中に入ったので寒い。バンザイをしてさっさと下る。
 駐車場には5時前に着いた。まあまあ充実した一日だった。

ついにMt.ロブソンだ
 8月23日。ロブソンの頂上は雲の中だ。8月後半に入ってずっと天気がさえないが、これがラストチャンスになりそうなので出発した。
 Ralph Forster Hut小屋までのアプローチはお世辞にもよいとは言えない。しかも1500�くらいヤブこぎやロッククライミングをまじえて登
らなければならない。それでもKiwey Lakeから4時間半ほどだった。
 8月24日。アメリカ人とカナダ人の3人パーティが3時ごろ出発した。僕は眠いので5時前まで寝ることにした。本当にダレてるなあ。上半分はガスの中だ。
 いやいやLittle Robsonまで登り、おやつを食べると少しやる気が出てきた。ここから先が最も危険なUpper s Glacierのセラック帯
の下を通ることになる。久しぶりにニュージーランドみたいな山登りだ。
 どうにか怖い所を通過してスノリッジに取りつくと、3人パーティに追いついた。ひとりは先に行って、2人はあきらめるようだった。南東稜側にルートを振っ
て、頂上へ。
 一度急にガスが晴れ、ロブソンだけが雲海の上に飛び出していた。群青色の空がすばらしかった。ほんの数分で再びガスに包まれ、もう二度と晴れることはなかっ
た。
 頂上で3人パーティのひとりと合流して握手する。彼はカナダ人で、彼が山登りを始めたとき、思い描いたゴールがロブソンの頂上で、今彼はそこに立っていると
話していた。少し感動が伝わってくる。
 下山は自分の足跡をたどるだけだ。危険なトラバースは走って越えた。
 小屋でラーメンを食べて、休憩する。僕は山で食べるラーメンが本当に好きだ。
 ツーリストインフォメーションの横のキャンプ場まで歩いて戻ったのは5時半ごろだった。
12時間のうちに、1500�登って3100�下ったことになる。充実した一日だったし、もうしばらく山に登らなくてよいと思うと嬉しかった。 一週間後、僕は
日本に帰った。

記録(すべてソロ、ロープ使わず)
① 7/23~24 Mt.アシニボイン北稜
② 7/28 Mt.アサバスカノースグレッシャー
③ 7/31~8/2 Mt.ビクトリア南東稜、Mt.レフロイ西壁(頂上下まで)
④ 8/20 Mt.エディスキャベル東稜
⑤ 8/23~24 Mt.ロブソン南壁