HISTORY & STORY

3.21.1996

石淵ダムから焼石岳へ



 

石淵ダムから焼石岳へ

静かな山、至福の山
KISYA
 
illust=M.NAKAMURA
 
1996年3月20日~21日
メンバー ヒロユキ(L)ハルミ、愛理、次郎、KISYA
行程 20日 晴れ 石淵ダム1000-銀明水1530
   21日 晴れ 銀明水800ー焼石岳1000ー銀明水経由ー石淵ダム1530


 『やっぱり東北だ、なるたけ、奥のほうがいい。といっても八甲田や八
幡平じゃ、ものたりない』というのがリーダーのヒロユキさんの発言だっ
た。それもそうだね、というわけで、奥の方の、比較的渋い山をえらんだの
だった。

 石淵ダムをでたのは予定より大幅におくれていた。北田啓郎氏の『スキー
ツアー 入門とガイド』どおり進むと、ぴったし、1番の標識がみつかった
。荷物も多いし、ラッセルもあるかもしれないので、雪洞ビバークも覚悟し
ていたけれど、やはり、3月の雪、昨日降った20センチの新雪の下はしっ
かりと固くなっていて、ラッセルは楽。

 天気もよく、見通しもばっちりなので、標識を百番まで追う。一回の迷い
もなく、銀明水の小屋へ着く。マキを集め、暗くなるまで周辺を滑る。まき
ストーブが快調にもえるので、持参のコンロは使わずじまいだった。そして
、愉快な山小屋の夜。
 
 翌朝もよい天気。風もなく、陽気もうららだ。小屋をきれいに掃除して、
頂上へ。赤布をつけながらいくが、天気は夕方までは大丈夫そうだ。頂上下
の平から見あげる焼石岳は全山えびのしっぽをつけて、真っ白。雪がゆるん
でいたのか、アイゼンを使うこともなくピークにたつ。華奢な体の次郎も元
気いっぱい。展望はすばらしかった。
 
 頂上直下から100メーター下の平までの滑降は快適。みんなで昼食をとって

から、金明水経由で縦走するというヒロユキさんとわかれ、銀明水にくだる
。トラバースしながらよい斜面をみつけては極楽的な滑りをたのしむ。テレ
マークに最適な斜面が無尽蔵にあるようにみえる。銀明水まで滑ると、雪が
重くなってきた。石淵ダムまでは登ってきたとおりにくだる。雪は重いが、
真新しいシュプールをつけて滑るのは楽しい。
 明日、あさっては、栗駒に行こうか、早池峰に行こうか、そんな話をして
いたら、車の前にとびだした。ウサギには会ったけれども、ほかのだれにも
出あうことのない、静かな祭日の山だった。