須走口旧お中道と平成お中道
2012年6月15日
member 太郎 伊藤フミヒロ
残雪豊富。吉田口を森ピカ組が登ってる |
太郎おおよろこび |
カジタックスが落ちてた |
梅雨の晴れ間の1日になるというので太郎とハイキングに出かける。富士あざみラインを上がって須走口5合目の駐車場標高2000mへ。9時半スタート。森の中のきれいなトレイルを行き夏の登山道に出て、のんびりと登る。雲やガスが湧くこともなく山頂までくっきりと見える。絶好の陽気だが平日なんでスキーヤーは見えない。
標高2400mの長田山荘で「このスジ中途道 吉田へ」という道標と細いトレイルを見つける。これが須走口から吉田口へ続くお中道ルートだろう。昔のルートとは異なる新しいお中道だという。で、「平成お中道」とも言われている。帰りにはこのトレイルを利用して戻ってくる予定なので、さらに上へと登る。
今日のプランは、標高2600mにあったという古いお中道を見つけ吉田口に続くトレイルを歩いてみたい。見つけると言っても、旧お中道にある須走胎内神社と滑沢の幻の滝は数年前に訪ねたことがあるから、問題はその先の吉田口下山道に続く未見のルート。吉田口に出ることができたら標高2400mまで下って、これまた未見の「平成お中道」を歩いて須走側に戻ってくるという周遊ハイキングだ。
長田山荘裏から夏道を上がるがすぐに雪渓が出てきて登山道が消えてしまう、が適当に残雪の上を登っていく。
2620mで瀬戸館、11時半。本6合目と言われているところ。小屋前のベンチで休む。風もなくぽかぽか陽気。残雪の様子を観察すると山頂から2400mの長田山荘あたりまで雪渓がつながっているようだ。今週末のスキーヤーはおおよろこびだろう。今年は雪が多いというのは本当らしい。
旧お中道は雪に埋もれているところ多い |
吉田口下山道が見える |
瀬戸館、もちろんシーズン前の今は人影はないが、この小屋は古くからのお中道の途上に建っている。小屋の先には須走5合目お胎内神社があって遥拝登山者の参拝所となっている。当時はここが5合目と言われていたようだ。
小屋の裏手にまわってみるが幅のある雪渓が広がっていて旧お中道の道形は見えない。雪渓の向こうのブッシュに目をこらすと赤布があるので、ピッケル片手にトラバース。確かに残雪豊富だ。ブッシュの中に細い道が続いている。
お胎内神社はお中道の脇に口を開ける溶岩洞穴だが、これも雪に埋まっていて確かめようもない。以前ここを訪ねたときは、洞穴の脇に石碑があって木製の鳥居が朽ちて倒れていた。
沢に出合うごとに雪渓が現れるが、それ以外はブッシュの中に細いトレイルがあって迷うことはない。よく歩かれているようだ。滑沢は雪に埋まっていて幻の滝は見られない。水音がするので50mほど登ってみると滝が顔を出していた。けっこうな水量があってすぐに足もとの雪渓の中に消えている。
旧お中道をさらに進むと小さなナメ滝が現れ、雪融け水が勢いよく流れていた。溶岩流の溝を富士山の最大傾斜線どおりにまっすぐに落ちる白糸の滝。さきほどの滑沢ほどのスケールはないがこれも幻の滝のひとつだろう。残雪期の富士山ではあちこちに幻の滝が出現するのである。
再びブッシュ帯の中の細道を辿るとまたまた雪渓。その先には広大なつばくろ沢のガラ場がえんえんと続いている。さらに先には吉田口ルートの下山道を望むことができる。視界が開けているので目的地はすぐそこに見える。
雪渓を渡ってつばくろ沢のガラ場に入るが、ここでトレイルを見失ってしまった。溶岩屑の崩れが激しいので道が消えてしまったのかもしれない。よろよろしながらこのぐずぐずのスコリア帯を進む。ガラ場が続いているように見えたが、実際は小さな沢がいくつか行き手を遮っていて、いちいちそれを越えていかなければならない。旧お中道はそのあたりを上手に乗り越えて作られていたのだろう。
ようやく吉田口の下山道に辿りつくことができた。下山道が吉田口登山道の6合目へとトラバースを開始する屈曲点で獅子岩という地名。先には3つほどトンネルが見える。つばくろ東沢の落石よけのためのもの、富士登山の際には下山者が毎度お世話になるシェードだ。
下山者が毎度お世話になるこの下山道は実はお中道伝いに作られた歩道。お中道は吉田口6合目からさらに登山道どおりに泉ヶ滝を経由して富士スバルラインの終点5合目駐車場に続いている。
その先は? その先は地形図にも記されているお中道ハイキングルートである。富士急行のドライブインの脇から、石畳の歩きやすいお中道が、御庭を経て大沢崩れ手前まで続いている。ダケカンバやシャクナゲの森を抜け、雪代で崩された沢を越える楽しいハイキングルート。寄生火山あり、箱庭あり坪庭ありの興味深い道。左手に富士山頂、右手に山麓からあちらこちらの山々…、とにもかくにも展望が素晴らしい。
さて「平成お中道」である。吉田口下山道を少し下がると、雪渓が出てきたのでそこをいっきに下ることにする。100mほど下がれば「平成お中道」に出くわすはず。平成お中道は地図にこそ破線は引かれていないが、目印もあって相当な人が歩いているという。細い道だというが、あいにく潅木帯は雪渓に半ば埋もれていて、このあたりのはずと探すが、判然としない。それでもなんとかダケカンバにくくりつけられた赤布を見つけ、トレイルを辿ることができた。つばくろ沢のガレ場を再び横断。踏み跡ははっきりしているし、ところどころの岩に白ペンキでマークがされているので迷うことはない。道端になにか落ちている。なんだ? ピッケルだった。アイスクライミング用のカジタックスでリーシュの先に極寒仕様のグローブがついたまま。吉田口を登っていた冬季登山者がうっかり流したものだろう。見上げる富士山頂は高い。残雪がまぶしい。どこらへんから落ちてきたのだろうか(余談ながら何年か前にもアイスバイルを拾ったことがあった。ほかにも財布とか寝袋とか、、、富士山では拾いものが多いのだ)。
美しい森を行く平成お中道 |
平成お中道の滑沢 |
スコリア帯を過ぎると美しい森に入る。ダケカンバとシャクナゲ、カラマツの森。先ほど辿った旧お中道が矮木帯をと毛無界の境を行くのとは異なり、平成お中道は大部分が森の中に道形がつけられている。
旧お中道は、とくにこの数年の大雨、大水で踏み跡が破壊された部分が多い。一方「平成お中道」は、わずかな標高の差だが森の中にあったことによって長らえているのに違いない。
しばらく進むと水音が激しく聞こえてきた。滑沢のナメ滝だ。先ほど上で見た滑沢は雪に埋もれていたが、ここでは雪は消え、飛まつを躍らせた素晴らしい流れとなっている。ここで大休止。
さらに小さな起伏をいくつか超えて朝方寄った「コノのスジ中途道」の道標のある長田山荘の前に出ることができた。2時半。なんと満開のフジザクラを見つけた。
丸太を輪切りにした道標に書かれている「このスジ中途道」は、お中道に上がる中途にあるから、という意味か。謙虚にも正しくもけしてお中道とも平成お中道とも書かれてはいない。途中道と呼ぶのはどうだろか。
夏山登山道を下って3時半に駐車場に戻る。
須走口登山道から2600m等高線を行く旧お中道を訪ねるのなら、お胎内神社と滑沢を見て引き返すのがよいようだ。標高2400mの「平成お中道」。美しいハイキングルートだが知る人は少ないのだろう、静かで美しい山道が味わえる。
長田山荘脇の道標。中途道よりも途中道と洒落るのがよいと思う |
動画2本!
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富士山を知る見るハイキングガイド伊藤フミヒロ
もうひとつ
そもそもお中道とは。
旧道はトレイルが消えている
地図にトレイルが引かれていな
昭和時代は歩かれていて、
大沢崩れは当時でも危険な道
いところにも好事家の道がある。
むらちゃん1日で周遊25km11時間。御殿場口スタートから帰着ま
で14時間
冠松次郎の地図s