バツール山(バリ島)
2013年2月15日
member ケイ、正房、伊藤フミヒロ記
天候 晴れ
バツール山。右上が最高峰。朝飯前のハイキング |
手前からバツール、アバン、アグン |
ガイドブックにはバツール山は標高1717mでバリ島で2番目に高い山と書かれていたが、地図を見れば最高峰のアグン山3142m(バリ富士)のほか2000m峰がいくつか発見できる。
バツールカルデラは箱根のような地形でバツール山はその中央火口丘。駒ケ岳のようなもの。芦ノ湖に似たカルデラ湖バツール湖を囲む巨大な外輪山には2172mのアバン峰があって、昨日の朝飛行機から見ている。バツール山はハイキング山としてお手軽で1番人気のある山だが、山登りする人ならアグン山にも登りたいはずである。雨季とあって今回は軽くバツール山へ。
夜中の2時にサヌールのホテルに迎えの車がきて中央高地へ。ドライバーと町のガイド。手配した正房も同乗している。英語のガイドで知り合いの知り合いとか。道は空いているが1時間半ほどのドライブ、80kmほどある。道は次第に一直線の登り坂になって最後にジグザグすると今度は急坂の下りとなる。外輪山の峠を越えてカルデラ底に下っているようだ。湖の脇に広場があってそこがトヤブンカというトレイルヘッド(別にPurajatl登山口もある)。管理事務所があって現地ガイドがたくさん待っている。まだ話ができてなかったらしく、町のガイドと交渉して3人で210ドルとする。ひとり頭全部で70ドル。このうち入山料がひとり300000ルピーで3000円ほどだから35ドルくらい。だという。入山料?は規定?のもので、ガイドを付けずに登ることはできない?のでそうなるらしい。ほんとのところが分からない。レギュレーションはないのか? 注1
ワヤンという20歳のガイドがあてがわれる。4時、満天の星。真っ暗の中ヘッドランプで歩き出す。先にライトの列がちらちら見える。あのあたりが山の本体らしい。富士山の夜間登山を思わせる光景。今日は全部で7~80人くらいか。ヨーロッパ人が多いようで、若者が多くサンダル履きの人もいる。日本人には会わなかった。
キュウリやトマト、唐辛子の畑道を行く。水は湖からポンプで組み上げているそう。ワヤン君が説明してくれる。ぼくは忙しくて睡眠時間が短い。なぜかといえば、ガイドのほかに湖で魚の養殖をしたり畑で野菜も作っているそう。聞いたわけでもないがあれこれ語ってくれる。英語で。両親がいないんで複数の幼い弟や妹の世話をしているそう。ここの山ガイドはただの道案内で雇用促進事業のようなものか。
バツール湖とアバン峰 |
カルデラ盆地の中 |
若者グループが張り切って追い越していくがぼくらはあわてない。次第に急登りとなってじぐざぐ。6時ころ東の空が明るくなってきた。バツール火口の縁の展望台到達。火口から水蒸気が噴出しているのがわかる。足もとの岩の裂け目からも暖かい空気が上がってくる。硫黄臭はない。気温は15度くらいか。ジャケットが必要。ここが今回の案内の終点らしい。展望台のそばに小屋掛けがあってサンドイッチを作ってくれるという。
いまいるのは火口縁の最低鞍部で、頭上には1717mのピークがそびえている。何人かが登って行くのが見える。どうも展望台往復の安いガイドコースだったようだ。それに、連れの二人はゆっくり登ってきたわりには、ヘバリ気味でもう充分という顔をしている。正房は5歳上の長兄、バリ在住。中学生のとき八ヶ岳へ初めて連れてもらった、それが山のそもそも。大学山岳部にもいた長兄だが年波にはさからえないか。
山頂に行ってくると伝えて、ひとり先を目ざす。15分ほどのモーレツな急登で最高峰に立つ。6時半、ちょうど日の出の時間。ご来光。富士山剣ヶ峰のようなところだ。大きな火口が眼下に口を開けている。何箇所からか噴煙だか蒸気だか上っている。
振り返ると巨大カルデラの底にバツール湖が朝日を受けて光っている。集落や畑もあちこちにあるようだ。湖の向かいにアバン峰があってその奥に最高峰アグン山が重なっている。その先にキラキラしているのはバリ海とロンボク島か。夜間登山だけはしたくないと思っていたがこんな光景が見られるのなら、まいいか、と思う。
山頂にいるのは白人の老若男女で、足もともウエアもしっかりとしたトレッキングスタイル。バツールホテルという名前の小屋掛けがあって喫茶店らしい。対岸の火口縁を歩く人も見えてトレッキングルートになっている。
登り道を引き返して展望台へ戻ると暖かいバナナサンドイッチとゆで卵が用意されていた。展望台周辺は散策路があってバリサルがたくさん遊んでいた。シッポが長くて小顔の可愛いサル。色はグレイ。
ゆっくり来た道を下る。一面に広がるカルデラ底には火山活動の跡が展開している。生々しいのは黒々としたの溶岩流の台地。バツール山は最近では1804年、1814年、1926年と噴火しているという。直近では2000年にも。黒い溶岩流はそのときのもの。ひとつ村がやられて何百人も被災したらしい。浅間山の鬼押出の光景だ。
ワヤン君が、今日はラッキーだという。まさにそのとおり。雨季なのに好天に恵まれた。バツール火山のトレッキングは5つ星だ。登り2時間ほどのハイキングだから誰でも登れる。ほんとはガイドもいらないところと言いたいだが、大層なチャージはドネイションと考えるのがいいだろう。夜間登山しなくても午前中にさくっとひと周りすることもできるだろう、が、暑いかもしれない。
バツール山頂 |
9時前にはトレイルヘッドに戻ることができた。顔を洗ってから朝の車で帰路に。途中キンタマーニ高原のコーヒー園でお茶する。町ガイドの案内するところで、いろんな味のコーヒーやお茶をいただく。きれいな植物園のようなプランテーションで1mもあるコウモリが放し飼いになっていてフルーツを食べていた。お義理で高級なバリコーヒーを買う。街のスーパーの10倍くらいの値段か。
車がホテルに着くと、朝の210ドルは山でのガイド分だけなので往復の交通費をくれと町ガイドが言い出したので驚いた。あとは正房さんにひきついでビールを飲みにバーへ。このタイプのガイドは珍しくないが、貧しいからそうなるのか、どうなんだろう。
ホテルで日本語のパンフレットを見るとバツール山ツアーは載っていなかったが、白人向けの英語のものにはホテルリターンでひとり69ドルというのがあった。ヨーロッパの若者たちはこれとか似たようなものを見てバツールツアーに参加しているのではないだろうか。内容は山頂に登って火口縁をぐるりとして、新しい溶岩流の丘を周遊してトレイルヘッドに戻るというもので、充実している。
有数の観光の島だから外人価格があるのだろうが、年々島も世知辛くなってるようだ。35年前に初めて来たとき「バリには悪い人はいません」とガイドがえばっていたのを覚えている。帰りに空港でペットボトルを買おうとしたら450円と言われたのにはいちばん驚いた。バリ島にもズルい人はたくさんいて観光客目当てのトラップはたくさんある。観光地はどこも同じ。
バツール登山の翌日は、ホテルのツアーデスクでブドゥガルまで行く8時間ツアーを買う。山の湖とお寺とほかいくつかカントリーサイドを回るもので昼飯なしの個人ツアーでふたり6600円。日本語の話せる女性ガイドがついた。このくらいが相場か。
ブドゥガルは、バツール山と同じ中央高地にある高原と湖で涼しい。ここもカルデラ。山はガスがかかってあまり見えなかった。案内されたレストランはツアー専用らしくブフェスタイルで中国人や白人ばかり。メシはひとり1000円で素材は安物ばかりでまずかった。
さくさく回って6時間くらいで済んだ。帰路、女性ガイドが、日本人はあっさりで早い、ヨーロッパ人はゆっくり見学して8時間以上かかる、と言っていたのが面白かった。
この島は道が悪く車とバイクが多い。交通のインフラがひどく遅れているようだ。
注1
ネットで日本語の旅行社ページがあって、二人以上なら、アグン山はひとり1万円、バツールはひとり8000円でホテルtoホテルすべて込み、というパックツアーがあった。一人だけだと割増料金。このあたりが相場らしい。
http://balimikan.com/treking.html
こちらは95ドル。
http://saritours.jp/batur-sunrise-tracking/
ポイントとしては、
展望台ではなくて山頂に立たないと面白くない。帰路は別ルートの周遊がいい。夜中に歩かずに午前中登山も交渉したい。
日本人女史の山レポートで、ガイド不要と言って登っている例もあった。強者である。
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-218396.html
どうやらひとり30万ルピー(3000円)を払えばガイドがついてバツール山に登ることができるようだ(周遊ルートは割増か)。入山料はなくて30万ルピーはガイド組合に払う。クタあたりからの往復交通費が別途必要(40~50ドル?)。結局適当なパックツアーを買うのが話が早そうだ。