冠水した小田代原を訪ねる
松倉一夫 9月29日、土曜日に、奥日光の小田代原に行ってきた。今年は台風の大雨の影響で、 湿原に満々と水がたまっており、これまでに見たことがない珍しい小田代原の姿に触 れることができた。 自宅を朝5時40分出発。まだ本格的な紅葉シーズンは迎えておらず、渋滞もなく赤 沼茶屋には7時20分に到着。駐車場はすでにかなりのクルマが止まっており、奥の方 に駐車スペースを見つける。
身支度を整えて7時25分に出発。ミズナラの森は所々黄色く色づきはじめているが、 まだ二分といったところ。途中、戦場ヶ原展望台から草紅葉と太郎山を展望。周囲が カラマツ林になると小田代原も近い。鹿よけの電気柵の内側へ回転扉を抜けて入る。 時計回りに進むと、じきに電気バスが走る車道に出る。
話に聞いたとおり、まるで湖のように湿原が冠水している。車道脇の斜面には写真 愛好家が4人ほど、一本のシラカンバ、貴婦人や湿原に光が射し込むのを待って三脚 を立てている。高い位置に上がると、水面に映り込む木々が美しい。まさに水鏡その ものだ。それにしても、これほど冠水してしまって高山植物のダメージはどれほどか と心配になる。夏場はホザキシモツケやハクサンフウロ、野アザミがきれいだ。 写真を数枚とり、車道をたどること5分ほどで、8時30分、小田代原のバス停前に 到着。再び回転扉で電気柵の内側に入り木道をたどる。冠水は木道の際まできており、 木道がなければ先を進めないほどだ。
進むに連れ、男体山や大真名子山、小真名子山、太郎山がよく見えてくる。紅葉し 始めた木々が水面を挟んで上下にシンメトリーを描くようにくっきりと写っている。 小田代原の最奥まで進むと、水もなくなる。笹原とススキ、草紅葉が美しいグラデー ションを見せ、その向こうに貴婦人と男体山が映える。 回転扉で小田代原を抜けると、泉門池へと向かう。途中、大きな沢状の切れ目が現 れる。以前はそれほど深くなかったが、今回の大雨で削られたのだろう。幅は1mほ どだが、深さは3~4mありそうだ。 しばらく進むと、大きなこぶの目立つミズナラの大木が現れる。ここを過ぎるとゆ るやかに下っていき、じきに分岐となる。左へと1分ほどで泉門池となる。地中から 湧き出す小さな池にはマガモが悠々と泳いでおり、男体山が望める。テーブルとベン チも用意されており休憩にちょうどいい。まだ9時40分と早いが、朝飯も少ししか食 べていなかったので、ここで昼食とする。おにぎり2個とミカンを食べ、9時55分、 湯滝へと向け歩き出す。
整備された木道を進むと、じきに湯川沿いとなる。ゆるやかな流れには釣り人がけっ こう入っている。20分ほどで分岐となる。湯滝へは左へと橋を渡って進むと1km、まっ すぐ湯川沿いに進むと400mとの案内。左へと橋を渡る。橋から正面に小滝が望め、 釣り人が中に入り込み、竿を振っている。 一度小さく登って、ミズナラの森を行く。途中、直径1m50cmはあろうかというミ ズナラの巨木に出会う。このあたりのマザーツリーといったところか。さらに進むと、 右下に見事なカツラの巨木が見えてくる。根元から枝分かれした姿がいかにもカツラ らしい。ここから1分で湯滝だ。10時33分着。
展望台から湯滝を眺め、茶屋の前を抜け、赤沼方面へと進む。400mで小滝の脇 を通り、先ほどの分岐だ。往路をたどり泉門池に戻る。ここから戦場ヶ原を抜け、赤 沼茶屋へと向かう。ミズナラの森を抜けると、左手に男体山、大真名子山、小真名子 山、太郎山が広がり気持ちのいい木道歩きだ。駐車場には11時35分着。
時間も早いし、他を少し巡ろうかとも考えるが、かなりクルマも増えている。いろ は坂の渋滞を考え、下ることにする。途中、日光市内のやしおの湯で汗を流し、午後 1時半過ぎに帰途につく。帰りはいつもながら、日光杉並木の道を通り、鹿沼ICま で走る。杉並木は規模こそ小さいが、アメリカのレッドウッドハイウエイを彷彿させ、 とても気に入っている道だ。帰りも渋滞に会わず、4時過ぎに帰宅。