member: Hiko Tokuchi & Friends
date: Oct,2013
Weather:fine
精力的なサイクリストの友人がゲレンデに行ってクライミングにはまり、次はちょっと大きな岩場を登りたいということでスネークダイクに行ってきました。当初はホイットニーの東壁やレッドロックのロングルートを考えていましたが、人も少なくなっただろうとヨセミテになりました。
スネークダイクは必ず登らなければならないカリフォルニアのルートで月夜登攀で有名です。アプローチが長いのが欠点。ビレッジの谷底から大きな滝をふたつ越えてリトルヨセミテまでハイキングしなければなりません。早朝に出発して日帰りで登ってくる人が多いようですが、3人だと時間がかかり過ぎるので途中でキャンプすることにしました。家を6時に出発、7時間ドライブして公園へ、パーミットをとって久しぶりに重たい荷物を担いでリトルヨセミテまで、なんとか暗くなる前にテントを張ることができました。夏だとバックパッカーが多いのでパーミットが難しいのですが今回は簡単にとることができました。友人は南カリフォルニアネイティブで体脂肪0パーセントなのでめちゃくちゃ寒いキャンプだといっていました。
翌早朝、すでに一組がルートに向かっていきました。たぶん3時ごろから登り始めたのでしょう。まるでアルプス登山のようなスタートです。僕らはゆっくり朝食をとって9時ごろから行動開始となりました。アプローチのわき道に入り、山全体がまるまる巨大な花崗岩のハーフドームをめざします。スラブをトラバースしたりしてやっと取り付きにたどりつくとすでに2組ほど先行、後からさらに2組ほど登ってきます。あわてても仕方ないのでのんびり準備して登り始めました。ルートはほとんどスラブ、2ピッチ登ってダイクにたどり着くと恐竜の背中のようなリッジを登っていきます。グレード5.7で大半がボルトビレイになります。案の定、2ピッチ目ルートを間違えスネークダンスを登ってしまう。順番待ちの暇つぶしルートということで1ピッチのみのルートということです。つるつるの岩でちょっと滑ったりして登りきると間違いだと指摘されあわてて懸垂下降をして正規ルートに戻りました。
雨の気配は全くなし、長袖シャツ一枚で暑くもなく寒くもなく最高のコンディションでした。それでもサイクリストの友人は風が吹くと寒い寒いといっていました。ホイットニーに行かなくて良かったね。だんだんと傾斜がゆるくなってルートが終了すると、あとはだらだらとスラブを登っていきます。景色を楽しみながらゆっくりと山頂にたどり着くとさらに素晴らしい景色が待っていました。北シエラのほぼ全体が見渡せます。北西壁を覗き込んだり、写真を撮ったりして一般ルートを降りてきました。
太さ1インチのケーブルが設置されている一般ルートはすでに支柱とボードが取り外され閉鎖されています。途中の岩だなやフレークには取り外された支柱やボードが無造作にまとめられデポされています。安全のためプルージックをセットしてケーブルをつかんでスラブを降りていきます。途中、支点がいくつかあるのでプルージックを架け替えなければなりません。堕ちれば間違いなく死にます。シーズンにはこんなところを一般ハイカーが列をなして登ったり降りたりしていることを思うと恐ろしくなります。昨年?あたりからハイカーの登山制限が始まりました。当然の処置と思われます。エベレストの固定ロープ登山はこんな感じなんだろうと思いました。
計画では登攀を終えてたらビレッジまで降り、翌日ナットクラッカーでも登ろうということでしたが真っ暗で遅くなったのでリトルヨセミテでもう一泊して帰ることにしました。キャンプ場近くまで来ると暗闇に光るふたつの目。巨大な熊がじっと僕らを見つめています。立ち去りそうにありません。あわててキャンパー達がたくさんいるキャンプ場に向かいました。