4.27.1991

錫杖岳と大木場の辻

北ア・錫杖岳と大木場の辻を各頂上から滑降
西田 真一 (きねずか同人) 原 伸也 (ビル エバンス同人)
日時調査中
 
今まで北ア・錫杖岳周辺の岩登りの下山時等にスキー滑降をした記録は
いくつかあるが、スキー主体の記録を見た事はない。
今回は3日間の完璧な好天に恵まれ 錫杖岳と大木場の辻周辺の沢を滑降した。
                                                                
この数年の山登りの中でも 最も充実したものとなった。
                                                                
4月27日(快晴)
槍見温泉から入山 9時45分。
一時他の場所に変更しようと考え込むぐらい雪がなく、
気を取り戻してクリヤ谷に入ると意外に豊富な残雪がある。
                                                                
14時30分 1540M地点でテントを張り 1814M峰へゆっくり登る。
                                                                
素晴らしい槍や 穂高連峰 笠ケ岳の展望と 錫杖岳岩峰群周辺の各沢の
豊富な雪の状況が見える。気分良くそのまま滑降。
                                                                
4月28日
錫杖の頂上の北側にある2100Mのコルまで
好天による腐った雪に苦労しながら登り、地図上の
錫杖岳2168Mの頂上着 10時5分。
当初の計画だった 笠谷側の滑降は あまりの樹林の密度に中止。
本当はチベットのカイラス山巡礼みたいに 錫杖頂上を一周したかったのだ。
                                                                
クリヤ谷側の斜面とは かなり異なる地形だ。
頂上からの滑り出しで 表層雪崩を誘発してしまうが 後は極楽ターン。
                                                                
コルからは クリヤ谷側に 広い斜面を自由に滑る。
時間が余りすぎて 錫杖北尾根の第1稜(3段ドーム)と第2稜との間にある
                                                                
狭い斜面を登り 少し稜線の錫杖北尾根を50Mばかり登り滑降。
ジャンダルムとピラミッドの黒い岩壁峰群に挟まれた急斜面を一直線で
そのまま テント場まで滑降。
滑降標高差930M。
                                                                
4月29日 
錫杖沢を2000Mのコルまでつめて 南峰2087Mを巻き
大木場の辻の頂の 2232Mに到着 10時50分。
360度の展望で 特に昨日よりくっきりとした白山連峰が見える。
2000Mのコルまでトラバース状に滑降すれば、テント場まで再び登る事
                                                                
はなくて楽だが、大木場の辻の北側の広くて明るい斜面に魅了されてしまった。
                                                                
頂上から笠谷右俣B沢へ1800M地点下まで滑降。
上部は滑り易いが 下部は樹林が密になり 南尾根の2000M地点のコルに
                                                                
引き返す。
そこから見おろす錫杖沢は 左手に巨大な本峰正面壁 右手には大岩搭があり
                                                                
その上下部があまり見えないため、下から登らなければ滑る気がしない。
                                                                
シュルンドやデブリも何カ所もあるが 怪峰を眺めながらの滑降は格別だ。
                                                                
テントを回収して1400M地点まで滑降し、槍見温泉16時20分着。
                                                                
滑降標高差1030M。
                                                                
槍見温泉の混浴を楽しみ 30日朝4時自宅に帰る。
                                                                
滑降標高差は余りとれないが、
1度も人に会うことがない 静かで充実した山行だった。