8.28.1999

穂高屏風岩のクライミング

穂高屏風岩のロッククライミング
土日でTRY、屏風のクラックと、ちょっとハ-ドなフリ-

ビョーブ岩
 
MEMBER CHU PIKA
1999-8/28,29

20年振りで、びょ~~ぶへいってめいりやした。あんときは真夏だったので、死ぬ
ほど暑くて、夏くっとこじゃねえなあ、って思ったもんです。でもめっきり歳喰っ
ちゃったんで、やっぱ陽が長い方があんし~~んって訳です。

長くあこがれていた雲稜のバリエ-ション、”ミッドナイトエクスプレス”(以下、
MEと書きます)と、3P目のフリ-が目標です。(オ-プンロ-ド??...なん
て、と~~んでもありやせん)
8/28(土)朝5:00に藤沢にいるpikaを拾って、沢渡へ。村営Pで、たま
たま居合わせた有名なガイドさんとタクシ-相乗り。ひとり1350円。まずまず。

すごいにぎわいの上高地で昼飯喰って、のんびり歩き始めるとポツポツ降ってきた。
ま、読み通り。日曜は晴れるぞぉ、って思いこむ。
横尾までの道は良く整備されていてビ-サンで歩いても違和感なし。両側を大きな山
に挟まれていてYosemiteみたい。シャトルがあったらいいなあ。
横尾の岩室で寝ようって計画してたんだけど、予報が雨だったんで、急遽横尾山荘を
予約。夜メシ付で7800円。寝心地最高!!

朝4:25にpikaに起こされた。外へ出ると、月が煌々と照っていて、快晴。
やった!
急いでラ-メン喰って、出発。
山荘から30分ほどで、岩室...岩室跡というべきか、ひどく崩壊していて、これ
じゃビバ-クは快適じゃないなあ。左手に工事の手が入っている堤にケルンがあり、
渡渉地点であることが分かった。屏風はまだ、東面が左前方に見える程度なので少し
迷うところだが、対岸に貧相な押し出しが見えている。これが1ルンゼなんだよ、諸
君。

こいつをヒ-ヒ-ゼ-ゼ-いいながら1時間弱、ひたすら登って、T4尾根に取り付
いた。2P(30m4+、30m5-)のクラシックな”岩登り”。岩混じりブッ
シュ混じりで非常に不安定な尾根(アテンション:ここが最初の核心!)を詰めると
T4のテラス。先行パ-ティが雲稜に取り付いている。

MEのクラックは雲稜1P目の途中から横に走っているのでテラスからは良く見えな
い。でも派生地点に残置のシュリンゲが長く垂れていて、それとなく分かる。

1P目は15mのハンド(ジャム)トラバ-スだが、ポイントはスタンスの見あたら
ない中間と終了点直前の2ケ所(5.10b/c、35m)。荷物はここにデポ。
水、食べ物、ジャンピング、ハンマ-、アブミ1セットだけ、セカンドが体のどっか
に付ける。

pikaが1P目をリ-ドしたが、終了点直前で、クラックを覆うブッシュに騙され
てワンテン。2P目は僕の番。入り口の立った部分はクラックに詰まった泥が恐ろし
くてワンテン。しかし後半の15mは完全なもじゃもじゃのジャングル・クラックで
(誰も登ってないんじゃないかあ??)
寿命が縮んでしまいました。久々、あたまんなか、真っ白状態で、ビレイオフ!!
(5.10a、30m)
pikaのコメント、「ミッドナイト...はあこがれていた割に、チンケだ!! 
なにしろちょっとみには、5.8っぽいぜ」
まさに。審美的には、落ちるよなあ。開拓者は猫可愛がりで”快適なハンドクラッ
ク”なんて書いてたけどさあ。登るひとによるんだろうなあ、やっぱ。

ま、いいや、って訳で、次が、いよいよ扇岩の上のA1ピッチで、雲稜を登っていた
パ-ティが抜けるのを待って10時過ぎ、まずpikaが取り付いた。でも、5m上
にあるフリ-用の1本目のボルトまでまったく行けない。何度か交代してトライした
が、全然だめで、仕方なくA1で登って、TRをセット。図らずも、初登者と同じパ
タ-ンになってしまった。11-だったら、オンサイトできなくても、ま、なんとか
なるべ、と思っていたんだが、とんでもはっぷん。
ショックなのはTRでさえ、この部分(核心!!)がつなげられなかったこと。ここ
を抜けるとあとは、そう難しくはなかった。時間切れ、モチ切れで12:30に下降
開始。横尾に3時半。上高地6:00。松本の”たくま”でヒレカツ喰って藤沢着午
前1:00。

MEも、件の3P目もグレ-ディングが良くない。迷っているといえばそうなのかも
しれないが、後々のグレ-ドダウンを怖がっているんじゃないかと、勘ぐれる。ME
の1P目5.10b/cは後に、5.10a/bと修正された。同様に2P目も5.
10aから5.9+に修正。3P目は5.11a/cと発表されている。こういう
どっちつかずのグレ-ディングは大嫌いだ。

5.10&Under・クライマ-を自称する僕ら(11-以下についてはかなり感
覚的に自信があります)からみて、ME、1P目は5.10bです。2P目は5.1
0aです。クラックの場合、プロテクションのセットに取られるエネルギ-を加える
と、フェ-スで+2~3ランク上の力がないと勧められません(つまり、ボルトル-
トで、5.10d程度を登るひとってこと)。
3P目ですが、登れなかったので、分かんないんですが、これだけははっきりしてま
す。5.11a/bってことはないと思います。当然もっと難しいと思いました。で
も、A1ル-トですから、人工ができれば、TRもできるので、挑戦しやすいと思い
ます。岩は硬く、安定しています。

下降支点はどのピッチもしっかりしていますが、T4尾根の露岩以外の部分の下降
は、ぐずぐずの石ころが急斜面に張り付いている状態で非常に悪いです。みなさん、
ゆっくり、慎重に。

とまれ、最高の景観と素晴らしい高度感、加えて固い岩で短いピッチながら、存分な
フリ-クライミングと美しい渓谷のトレ-ル・ウォ-キングも含めて、充実した週末
でした。

:Chu