7.20.2003

清津峡廊下下降

■清津川カヌー下降報告
地域:新潟県清津川(清津峡廊下) 
日程:7月20日(日)
天候:晴れ
目的:カヤックによる完全初下降

メンバー:深田・青木・松原・後藤・林(ロストアロー)・渡辺(ARC)
装備:スローロープ各自、補助ロープ30M、スリング・ビナ類、
   ツエルト他ビバークセット
動画ページは!
http://homepage.mac.com/f_fkd/

 今年予定していた黒部上の廊下下降のメドが立たず、どうにかカヤックでエクスペ
ディション的行為は出来ないか模索していたところ、98年成瀬氏、00年敷島氏グルー
プによる清津峡遡行記録が目に止まった。インターネットと地図情報また現地人、現
地トレッキングにて下降可能と考え、水の比較的少ないであろうこの時期がチャンス
と判断した。またメンバーは今シーズン集中的にクリークボーティング(激しく、比
較的狭い渓谷下り)をやり、既に今シーズン初下降を2つやった。
 清津川はかぐら・みつまたスキー場の手前を流れる川で、その周辺は陳腐な川だ。
また清津峡は渓谷沿いに遊歩道がある為、エクスペディション的な雰囲気は薄れると
思った。しかし、実際は渓谷の核心部である鹿飛橋から足尾沢出会の歩道は大きく迂
回していて、一度谷に入ったらエスケープすることがかなり難しく、事前情報ではそ
この部分は前出の2グループも敗退しており、滝が連続しているということで、かな
りのプレッシャーがある。やはりエクスペディションだ!下降ポイントの八木沢から
清津峡温泉まで約13KMである。覚悟を決め川に望む。

 8時八木沢を出発。これから約2Kは初級者でも下れる2級の瀬が続く。その後猿飛岩
が近くなるに従い3級-程度の快適な瀬になる。当然これからの行程で、橋以外は人工
物を目にすることが無く、水も澄んでいるので清々しい。アメリカやネパールに行か
なくてもまだまだ良い川はあるんだなー。
 鹿飛橋の直前よりクリークボーティングらしくなり、9時に鹿飛橋直下のとろ場着。
直後に初めの核心部が現れる。ここは前日に林氏にビレイしてもらい、猿回しの要領
で崖に取り付き、偵察していた。4級程度の2段のドロップだ。2名ほど沈したが、問
題なく下降。直後のプールに比較的新しいハーケンにスリングが掛かったおつかまり
紐があった。極端に川が狭くなり、緊張感が出て来る。間もなくして魚(よ)止めの
滝(3.5M)が現れる。偵察が可能で、淵に岩が無い為比較的簡単に飛べた。3名ほど
沈するが、滝つぼに巻き込まれることは無かった。高石沢出会は確認出来ず。足尾沢
出会までは快適な3級程度(時々3級+)の瀬が続く。
 10時半頃足尾沢出会に到着。河原に上がることが出来るので、休憩を取る。この辺
りより、とろ場が出て来る。谷が開けて来て今までの雰囲気とは違ってくる。間もな
くして、分かりにくいが通称長瀞と呼ばれる自然湖帯に着く。沢登りの人達は苦戦し
た所だが、カヌーにとっては一番楽な所だ。この自然湖をつくり出した崩落帯に11時
頃着。2階立ての家サイズの岩が多数川に横たわり、嫌らしい滝の連続で、部分的に
流れが石の下に入り込んで入る為、迷わずポーテージすることに決める。崩落帯
は200~300mくらいに渡り、2箇所の小山を越える。ロープを使い効率良く皆で連携し
てカヤックを運んだ為、想像していたより早く突破することが出来た。12時10分崩落
帯下部よりエントリー。林氏にロープを結び、滝の手前まで漕ぎ、滝の様子を伺う。
下に岩があり、また水量が本流では無く少ない為、カヤックをおり、人間とカヤック
と別々に下ろす。直後に4級-程度の2段のドロップが出るが、難無くこなす。その後
は3級程度の部分部分テクニカルな楽しい瀬が銚子滝過ぎまで続くが、この手前でト
ラブル発生。青木氏がわずかなところでピンニング(岩に張り付く)、かなりの勢い
でぶつかった為、ハル(底部)のまん中に30CMに渡る半月状のクラックが入る。応急
処置として、スポンジやペットボトルなどを加工してなんとか修理。ゴールまで直し
ながら下って行く。2~3級のセクションを快適にダウンリバーし、黒部上の廊下を思
わせる一帯を抜け、柱状節理の荘厳な雰囲気に包まれ、清津峡トンネルに差し掛かっ
た時は皆で固い握手で滑降を喜ぶ。2時10分前、駐車場到着。温泉にて疲れを癒す。


※今回完全なる下降ではなかったが(ポーテージをした為)、満足した。また地元の
人によると昭和51年に東京カヌークラブ所属の方が下降していたとのこと。(どの程
度なのかわからないが)残念だがこの川のレベルであれば十分ありえるだろう。次は
黒部か早出を目指したい。


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渡辺賢二