4.21.2015

阿蘇山、九重山、祖母山、霧島山、開聞岳

九州遠征で百名山5山。好天が続けばラクな旅になるが
メンバー 伊藤・記

2015年4月15〜19日  

グレード 祖母山★★
ほかの4山は★
標高 阿蘇山1592m 九重山1791m 祖母山1756m 霧島山1700m 開聞岳924m

●プロフィル
 九州や四国の山行は旅の要素もあって楽しめる。北海道も同様。百名山登山ならではの特典といえるだろう。 
 九州の百名山は5つあって(屋久島宮之浦岳をのぞく)どれも比較的かんたんにピークハントができる。

どれも老若はあるが火山性の山域で独特な景観と植物相が魅力。登山適期は春から初夏にかけての花の季節だがハイカーも増えて混雑することが多い。悩まし
いところだ。
 標高差から見ると祖母山がいわゆるふつうの登山といえるがほかはハイキングにプラスαしたほどの山登りといえるだろう。
まとめて5山制覇をプランする人が多いが、天気に恵まれるかは運。マイカーかレンタカーなど車利用だとなにかと便利だろう。紀行は車で5山を巡ったもの。

●行程 
阿蘇山 仙酔峡ロープウエー駐車場|阿蘇高岳|駐車場(行動3時間)
九重山 牧ノ戸峠|久住山|坊ガツル|長者原(行動6時間)
祖母山 神原登山口|国観峠|祖母山|駐車場(行動7時間)
霧島韓国岳 大浪池登山口|大浪池|韓国岳|大浪池登山口(行動6時間)
開聞岳 開聞ふれあい公園|開聞岳|聞聞ふれあい公園(行動4時間)

●レポート

阿蘇山高岳
4月15日。
遠出の山旅へ。
阿蘇高岳 

10日間予報をみて1週間ほど遅らせたのだがどうなるだろう。朝いちの便で羽田発。琵琶湖から
瀬戸内を過ぎて熊本空港へ厚い雲をくぐってランディング。
 レンタカーを借り出して阿蘇へ向かう。西口登山道で草千里、阿蘇山ロープウエー駅へ。レベル2の火山規制でロープウエーは運休中。観光客は外国人がちらほらで静か。登山口は規制中になっていてこれは事前情報どおり。
天気は午後から回復気味という予報なのでいそがない。

 山腹道路で仙酔峡へ移動。こちらのロープウエーも休業のようで人出はない。ひとり若者が登りじたくをしている。ここから高岳北尾根の往復ルートのみが行動可能のようだ。風が強く山頂部はガス、中岳の噴煙がまともに流れている。レンジャーらしい女性に声をかけられる。風が強いので無理しないように、マスクを持っていとよい、と貸してくれる。
 2時のスタート。高岳にダイレクトに突き上げる尾根ルートで急な岩場が続く。強風でよろよろしながら登っていくがすぐに若者に道を譲ることになる。噴煙のせいで目がちかちかしてノドもへん。マスクが役に立つ。八ヶ岳赤岳の登りのようなかんじ。山頂部は雪が残っていて雪山モードになっている。
 肩からはわずかなトラバースで山頂。高岳の旧火口が広がっていて噴煙を上げる中岳火口も見ることができる。
 登り以上に歩きにくい下降だが往路どおり下って5時前終了。スピード登山だった。
 麓のアゼリア21温泉に寄って久住高原の長者原へ移動。大きなパーキングだが車は少ない。

九重山
長者原のビジターセンター
久住山

4月16日。 
 星空だったが朝は高曇り。三俣山など釣鐘状の山々がよく見えるがそのうちに雲が下がってきてしまった。雨にならないことを願う。
10分ほどのドライブで牧ノ戸峠へ移動してスタート。今日も風が強い。ガスで視界もなさそうなので久住山頂往復でいいか。雨が来たら引き返そう。7時に歩き出す。
 登り始めは急な階段が続くが、尾根上に出ると緩い起伏でどんどん先に進むことができる。その分、道はぬかるみで、このあいだの残雪も混ざって泥濘状態。数人とすれ違う。視界は100mほどか。
 山頂近くで若者と少し話す。もうれつな強風で倒されるほどだが帽子もかぶらず元気。9時、展望のない山頂にタッチして往路を戻るが風は相変わらず。天気がよければ、このあたりいくつも小さな火山と火口があって面白いところなのだが。またこよう。

 法華院温泉に下る周回ルートが風もないだろうと分岐で北千里へ下る。
 北千里は大陸の砂漠を思わせる荒涼とした火山地形で面白い。スガモリルートを左に分けもう一段下って法華院温泉着。大きな山小屋。
 坊ガツルの平から雨ヶ池越えで長者原に戻る。雨ヶ池までの登り返しが長く感じた。数人のハイカーとすれちがう。1時終了。2時のバス待ちのあいだビジターセンターを見学。日田バスで牧ノ戸峠に戻って車をピックアップ。長湯温泉道の駅に移動。

祖母山
祖母山


4月17日。 
 いつもどおり日の出のころ始動。九州のまん中、田舎町をぬけて春の祖母山麓へ。長湯から2時間で神原の登山口駐車場に達する。車は1台もない。
 7時スタート。祖母山へは四方から登山道があるが、神原ルートは少し長いがポピュラーなもののひとつ。道も明瞭で道標も完備。ちなみに登山家ウエストンは明治
23年に宮崎県の高千穂町側から祖母山に立っている。同じころ阿蘇、韓国岳、桜島(!)にも登っているそう。

 千曲川源流のような渓谷沿いの新緑の道を上がる。5合目避難小屋を過ぎ神原川を渡った先から急坂となって広葉樹と照葉樹の森を登ってゆく。尾根上の道で、はるか左の頭上にピークが見える。あれが祖母山山頂か。標高差は1000m以上あるようだ。
 国観峠の平で急登は一段落。緩い勾配で雑木の森を登る。11時前に山頂。数人がのんびりしていた。展望のよい頂で、昨日の九重山、煙を上げる阿蘇山、おとなりの傾山、そのほか雲か霞のような山々が見える。往路を戻って2時終了。となりにそっくりのレンタカーが停められていた。

 南へ、鹿児島県へ移動しよう。いったん熊本へ戻り九州道で横川ICへ。横川温泉センターに寄る。九州の温泉は内容がよくて安いのが素晴らしい。霧島神宮近くの霧島道の駅泊。

霧島韓国岳
韓国岳山頂

さらに南下するよ

桜島から鹿児島へ

4月18日。 

 霧島道の駅から温泉街を抜けて大浪池登山口まで上がるのに30分もかからない。駐車場には車が1台。6時半スタート。遊歩道を小1時間も上がると大浪池に出る。まん丸い池とその先に肉まんのような韓国岳が見えた。火口縁を行く。絶壁から見下ろす青い火口湖は新鮮だ。足元には小さな春の花が咲き競っている。大浪池は本来大浪池火山というべき火山で韓国岳のおまけではないという。

 いったん少し下って韓国岳への登にかかる。木製の階段がえんえんと続くので歩きにくい。登山口からの標高差は600mほどだがそれ以上に感じるかもしれない。山頂まではミヤマキリシマなどの灌木帯で見晴らしがいい。右手の先に低いが鋭くそびえているピークは高千穂峰、その手前の大皿のようなクレーターが新燃岳だろう。

大皿からは湯気のような噴煙がいく筋か上がっている。火山規制レベル2の山で今は近づくことはできない。
 韓国岳山頂9時半着。数人のハイカーがのんびりしている。山頂は大きな火山礫がころがる岩山。山頂から北側は絶壁になっていて巨大な釜が口を開けている。直径130m、深さ300mほどの湯呑みのような火口。 下山は大浪池の西の火口縁を辿る。

のんびり下って12時前に終了。駐車スペースは満杯になっていて道路脇に停めている車も多い。大浪池は人気の観光スポットのようだ。
 霧島神宮を少し見てから南下。指宿方面を目ざす。大隅半島を下って桜島港からフェリーで海を渡り鹿児島港へ。さらに錦江湾沿いに南下して喜入の道の駅着。ここには温泉センターもある。

開聞岳

開聞岳の山道

池田湖
開聞岳公園から

4月19日。

 日の出のころ喜入からさらに南下。池田湖を見てから開聞町へ。正面に開聞岳を見上げるようにして坂路を上がる。立派な登山者駐車場(開聞ふれあい公園)があって、お仲間か、そっくりのレンタカーが2〜3台あってドライバーつまり百名山ハンターはもう出発したあとのよう。開聞岳は山頂部がガスに包まれている。雨のこないうちに登って帰ってきたいものだ。

 7時スタート。うっそうとした照葉樹のジャングルの中、深く掘られた道形を辿る。開聞岳の登山道はこれ1本だけで大昔から歩かれている山道らしい。道脇にはシダの類が多い。屋久島の山と似ているかもしれない。

 スコリアの砂利道から大きな火山礫の転がる歩きにくい道を辿る。開聞岳火山の噴火と池田湖火山の活動は連動しているとか。池田湖は大きなクレーター湖なのである。
 
 合目が正確に案内されていて、5合目でようやく海を見ることができた。山頂までジャングルが続くこの山はあまり展望は期待できない。ガマンの山と言えるだろう。
 山頂部に行くほど傾斜がきつくなって、最後は岩登りのようになって頂上に達する。9時半。頂は麓にある枚聞神社奥宮だというが別に赤い鳥居を持つ御嶽神社もあった。皇太子殿下も登っているようだ。
 視界のない山頂と強風で早々に下山。人気の山とあってこの天気だというのに10人ほどの登山家と遭遇した。

 近くの山川町ヘルシーランドで温泉、予約してあった指宿のユースホステルに入る。あと2日間ほど余裕があ
るので天草あたりをドライブしながら熊本へ戻るつもり。
知覧

教会

天草へ

海きれい

熊本城 このあと地震


●アドバイス1
・阿蘇山はいつも火山活動による規制がし
かれていて、以前のように長い縦走コース
を歩くことができない。レベル2規制の場
合、仙酔峡ロープウエー下駅からの高岳往
復ルートしか選べない。規制レベルがしば
しば変わるので事前に情報を得ること。ア
ナウンスは地元市町村、気象庁などのホー
ムページで知ることができる。
・九重山(久住山、中岳)は牧ノ戸峠から
ピストンするだけなら4 時間ほどの行動
時間ですむだろう。ルート中にとくに危険
なところはない。

●アドバイス2
・祖母山は、レポートの神原ルー
トは標高差1000 mほどあるがと
くに危険なところはない。宮崎県
側の高千穂町からの北谷コースも
人気がある。往復5 時間ほどの行
程で最短。
・霧島山はこのところいつも火山
活動による規制がしかれていて、
以前のように広く歩くことができ
ない。韓国岳は、えびの高原ビジ
ターセンター駐車場から韓国岳と
大浪池を周回することもできる。
行動時間は6 時間でかわらない。

●参考
・阿蘇山の仙酔峡ロープウエー
駐車場へは、九州道熊本IC から
国道57 号経由。豊肥本線宮地
駅からタクシー利用。
・九重山牧ノ戸峠駐車場へは、
九州道熊本IC から国道57 号経
由または大分道日田IC から国道
212 号経由。やまなみハイウエ
イ沿いである。久大本線豊後中
村駅から日田バスの便がある。
・祖母山神原登山口駐車場へは、
九州道熊本IC から国道57 号で
竹田市経由。豊肥本線玉来駅。
・霧島山大浪池入口駐車場へは、
九州道えびのIC からバードライ
ン経由。最寄駅は日豊本線霧島
神宮駅でタクシー利用。
・開聞ふれあい公園へは、九州
道鹿児島IC から国道226 号経
由。最寄駅は指宿枕崎線開聞駅。
・各山の近辺に道の駅と温泉施
設があるので車泊派はラク。
取材 2015 年4 月15 〜19 日