古道と峠と神社
石楯尾神社 |
棡原から栗坂丸 |
栗坂尾根の古道 |
2015年4月6日
member 太郎 伊藤フミヒロ記
天候 晴れ
国道20号を下り上野原に入ったところで、棡原(ゆずりはら)へ、の標識を見て右折。境川沿いの地方道を遡上する。境川は山梨県上野原市と神奈川県藤野を分ける県境の川。源流は旧佐野川村エリアの上岩あたり。生藤山の山腹から流れ出ているようだ。先祖、御霊など珍しい地名のバス停を過ぎる。のんびりした田舎の風景が続く。
佐野川エリアは日本の里100選だが東側のこのあたりには茶畑は見られない。かわりに大きなゴルフ場が広がっていてさみしい。
道脇に蚕影神社とか石楯尾神社があって古い通りのようだ。石楯尾神社に寄ってみる。山門が広く大きくて雨の日でも祭りごとができる独特の仕様になっているとか。
今日のルートの出入り口、軍刀利神社と小伏の二か所を確認してから、棡原トンネルを抜けて棡原エリアに入る。こちらは鶴川の水系で源は三頭山の鶴峠のあたり。源流まで長い谷が続いている。このあたりの川はいずれ相模湖、相模川に下ることになる。
別途に棡原からは、山梨から東京都へ抜ける甲武トンネルがあって通称笹尾根と言われる国境稜線の下をくぐっている。東京都側は檜原村で秋川の水系、多摩川上流で奥多摩エリアになる。
今日訪ねる予定の浅間峠、栗原峠はトンネルのできる前の古道で、ほかにも、笹尾根伝いの日原峠、三国峠、数馬峠、小棡峠なども国境の峠でこのあたり峠だらけ。笹尾根は昔からのハイキングルートで近頃はトレランのルートとして人気があるという。長谷川カップも。
棡原は長寿村として知られているようだ。ふるさと長寿館あたりから見る棡原の風景は悪くない。甲武国境のハイキング山を背に日当たりのいい段丘に小さな村が転々としている。サクラのほか春の花があちこちに咲いていて爛漫の様子。
今日の行程、5時間ほど |
栗坂尾根から笹尾根、土俵岳 |
栗坂峠 |
浅間峠 |
熊倉山近くのトレラン女子 |
前ふりが長いがこれは取材用メモ。さてハイキングだが、小伏から栗坂峠に上がって稜線を歩いて熊倉山から軍刀利神社に下ることにする。神社は三国峠、生藤山の登山口で駐車場もあるので逆コースの方がポピュラーだが、栗坂峠道が細道で標識も一切ないというので登りに使うことにする。とはいえ昭文社登山地図には赤線で利用可となっているので問題ないはず。
棡原トンネルの小伏側のスペースに車を置いて村道を上がる。10時。花咲き乱れる春の風景だが日当たりがよく暑い。村はずれの一軒家の庭を抜けるようにして林道から栗坂峠道に入る。古道は馬が行きかっただろうと思わせる凹状になっていて歩きやすいジグザグだが、枯葉が深く溜まっている。一帯はスギの造林。774ピークに芦沢山という手造りの標識があった。山酔会とも書かれている。ここからの下りで少し迷うが道は右に折れているようだ。717mあたりに天保時代の馬頭観音があるというので探してみるが不明(717m下のコル、の沢へ下る道の分岐にあるらしい)。栗坂の丸の西急斜面をまくか細い踏み跡を伝って峠に出る。11時45分。
稜線はそのまま人気ハイキング道で栗坂峠と記された標識もある。傍らの木に小伏へ、という小さな標識もある。国境を越えて東京都檜原村に下る踏み跡があるようだがその先は不明。いずれにしても峠らしい風情はあまりない。
500mほど北へハイキング道を辿り浅間峠へ。小さな広場になっていてあずまやがあり案内板があり石仏が2本の大杉にはさまれるようにして祀られて、まさに峠の風景があった。その昔は富士山が見えたのだろうが今はスギ林に遮られて無理。様子から見てこちらは昔も今もよく利用されているようだ。とはいえ今日は誰にも会うことはない。
ひと休みしてランチしてこんどは笹尾根ハイキングルートを熊倉山へと辿る。右手山梨側は立派なスギ造林、左手東京側は雑木林。いくつかコブを越えて1時前に熊倉山。南面が開けていて丹沢、道志、富士山など。
三国峠へ下る急坂でおじさん一人とトレラン女子二人に出合った。しばらく行くと広場があって軍刀利神社元宮。ひとやすみに丁度いい。ここから神社までは細いトラバース道とその後よく歩かれた急坂ジグザグ道が待っている。
軍刀利(ぐんだり)神社大カツラ |
軍刀利神社の刀剣 |
軍刀利神社の大カツラは有名らしい。カツラの木らしく複数の幹が束ねられたような大木で味わいがある。神社本殿は新しく天蓋が架けられていて撮影のしようがない。軒先には巨大な木製刀剣がいくつも奉納されていて面白い。参道を下って駐車場を確認してバス道路にでる。2時半。井戸のバス停がある。ここから山村風景を眺めながら舗装路をくねくねと歩いて車へ。3時過ぎ終了。
帰路は下岩からくらご峠を越えて沢井川伝いに藤野へ出て20号に入る。
以下 熊倉山からの展望図