2.08.2003

草津山スキー

草津山スキー
 
皆様:

以下の計画無事終了しました。

芳ヶ平ヒュッテ付近にベースキャンプを設け、
1日目 池ノ塔への尾根の途中から、
2日目 大平湿原の斜面、
をのんびりと滑りました。
日中の気温が春並に高かったせいなのか重い湿雪で、
スキーを回すのが大変でした。
今回は雪はいまいちでしたが、
芳ヶ平近辺には良い斜面が多くあり、
ヒュッテの雰囲気もすばらしいので、
やはり何度行っても良いところだと改めて思いました。
青木邦彰




青木氏の報告に追加します。
今回は怪我人が2名でましたので反省を込めてレポートいたします

2月8日(土) 
  雪面の状況: 表面から3cmがクラスト気味、その下25cm程度がパウダー
で、パックされた底がある。
   パック面とパウダーの接合は弱層はあるが、トラバースして切れるほどではな
い。
   (斜度があれば、もちろん話は別)

  天気予報: 晴れのち雨。天候悪化がわかっていたので、朝1で出発するはず
が、寝坊をして9時30分ごろの遅い出発。
   芳ヶ平ヒュッテ着が11時00分ごろ。荷物をテン場にデポをして、池ノ塔山の尾
根を登り始めるのが11:30。
   女性メンバーの体調が悪く、夏道までもたどり着けず、尾根コースをそのまま
降ることとする。この時14時頃。
   夏道まで登ってトラバースして入る谷コースが日影で、雪質がいいことはわ
かっていた。
   時間切れとなり状況の悪い尾根コースを下ることになった。
   朝からピーカンに晴れた日、このころには雲量が増え始め、強いサンクラス
ト。
   下り始めてすぐ、クラストにトップを喰われ石塚が前のめりに転倒。スキー
トップで左眉の上を3cmくらい切る。
   出血し、サージカルテープも貼れないのでティッシュを当てテーピングテープ
で鉢巻して圧迫。
   痛みは無い。5分ほど止血した後、そのまま滑って全員でヒュッテに戻る。
   女子メンバーの体調は回復せず、夕食後ヒュッテに素泊まり。他はテント泊。

  反省点:  睡眠不足と出発時間の遅れ、体調不良を訴えたメンバーをすぐ降ろ
さなかったこと。
    その結果、天候の変化により雪質が悪化した中を降るはめになったこと。帽
子を着用していなかった。
  良かった点(あたりまえ):  医薬品、ツェルトなど、万が一行動不能になっ
た場合でも必要な道具が揃っていたこと

2月9日(日)
  前夜から降雪>暴風雪となる。朝はガスが激しく行動できず。9時頃から天気が
急速に回復。風は強いが晴れはじめる。
  雪面の状況: 暖気が入ったため、重い新雪が降り、天候回復とともに表面が急
速に溶けはじめる。前日クラストとなっていたところは、強風で新雪が積もらず直接
太陽と風にさらされていた。
  
  池ノ塔など、芳ヶ平から上部は風の影響で条件が悪いことが予測された。下部の
大平湿原へのピストンを最小限の装備でする。   滑走は、春の湿雪のような状況
で困難だがそれなりに楽しめた。
  登り返しの時には、表面から水分を吹くような状況で滑走が危険な状況。

  昼食後、荷物を背負って大平方面経由での下山は危険と判断し、通常のツアー
コースを降ることとする。
  激しいブレーカブルクラストで足を取られる。そんななか女性メンバーが転倒。
右足首をひねってしまう。
  ボキッという音を聞いたとのことで、靭帯か骨かしばらく様子を見つつ、その先
の下山コースの状況を説明する。
  ヒュッテからはせいぜい500m程度の場所なので、自力で滑って下山できなければ
ヒュッテまで担ぎ返すこととなる。
  本人の判断では、滑れるとのことなので下山を継続する。

  下山コースの雪の状況があまりにも悪いので、彼女の荷物を私が前にかかえ、状
況が良くなるまで空荷で下らせる。半分程度下ったところで、大丈夫とのことで荷物
を返し下山する。
  草津スキー場パトロール併設の診療所で、骨にヒビが入っている可能性があると
のこと。
  後日、ヒビ2箇所が確認された。

  反省点: 
    下山できたことは結果オーライではあるが、途中で再度転倒などしてしまえ
ば行動不能になることが予測される。
    (転倒したところからであれば、背負ってでも2時間程度でヒュッテまで帰
れた。)
    自力下山できるかどうかの判断を、ツアーの経験が多いとは言えない当人に
任せたこと。
    ブレーカブル・クラストの危険性を充分伝えなかったこと。
  良かった点:
    万が一行動不能になっても、翌日以降の救援を待つ充分な装備があったこ
と。

リーダーとしてグループを率いる責任と、的確な判断の難しさを実感いたしました。
自戒を込めて。

石塚