4.28.2015

平ヶ岳スキー

平ヶ岳スキー
好天のロングツアー

2015年4月26~27日 

member 伊藤フミヒロ記 

1690m広場で

稜線から越後の山

平ヶ岳見える



4月26日 日曜日 はれ
 
 よい天気が続くようなので、念願だった平ヶ岳へ。ここも日本100名山だ。戸倉6時半、案の定、鳩待峠の駐車場は満杯なので橋を渡った第一駐車場へ。至仏山バックカントリーのシーズンとあってここもけっこういっぱい。1日1000円らしい。7時のマイクロバス930円で峠へ。
 至仏山へボーダーやスキーヤーが続々と登っていくのを横目でみて山の鼻へ滑走。天気がよく気温も高いので朝から柔らかい雪になっている。
 朝のキャンプ場や山小屋を見学してから、猫又川をさかのぼる。地形図の右股、左俣の分岐まではわずか。以前ヒロユキさんと岩塔盆地と景鶴山を訪ねたときは右股に入ったのだが、今日は左俣へ。適当なところでキャンプするつもりだったがまだ朝のうちなので先へ進む。ワル沢の出合は大きな滝が出ていた。フタマタ沢をのんびり詰める。スノーシューの跡がひとつだけあって途中でスズヶ岳の稜線に直登しているようだった。
 
ワル沢出合

ベアプルーフ

 1621mの平が格好の幕営地に見えたが、まだ時間が早い。1690mの平まで上がる。タンネ森の中に夢のような空き地があった。広場の真ん中にカンバの大木が2~3本。その先に至仏山が見なれない格好でそびえている。のんびり登ってきたがようやく昼過ぎ。ここを埴生の宿としよう。
 ビニールパックに雪を入れておくと水になる。それほど暖かい。ツエルトを張ってからあたりを滑って周る。猫又川源流は 小沢が枝分かれして複雑。岩塔盆地やカッパ山、背中あぶり山が見える。西丸震哉先生命名の一帯だ。岩塔盆地の魅力は知る人ぞ知る。とにかくきれいなところだ。
 今日は春の雪質もあってここまで一度もシールを使うことはなかった。このあたりは平ヶ岳へ向かう最短のルートなので上がってくる人でもいるかと思っていたがその様子はなかった。のんびりしていると日が傾いてきて静かな夕暮れになった。風もない。


至仏山と背中あぶり、カッパ山、岩塔盆地

大白沢山、景鶴山、燧岳

白沢山ピークのテント。登山家のものか

4月27日 月曜日 はれ
 今朝も好天。6時前、シールを貼ってスタートする。パックの中は水とわずかな行動食だけ。鳩待峠発4時半の最終バスには間に合わせたい。平が岳山頂にタッチしたらすぐ戻ろう。
 朝日の差し込む森の中を上がる。昨日見たスノーシューの踏み跡と合流する。オープンスペースが現われ1821mの主稜線ピークまで登るとあたりが見渡せる。ずっと先に平ヶ岳が見える。今日の行程が見えるので迷う心配はなさそうだ。 
 スキーのトレールと合流する。これは新しいから今日のものだ。昨日は見なかったスキーの跡、ということは? 小さな起伏をこえてしばらく行くと先行するスキーヤーが見えた。
 白沢山まで達すると山頂には小さなテントがひとつ。スノーシューのトレイルの人のよう。今日はテントからアイゼンに履きかえて登っているようだ。先行スキーヤーはがんがんと進んでいる。
 1936ピークあたりで下ってくるアイゼン登山家とすれちがう。アイゼンの登り下りで苦労したよう。うんざりとした顔つき。スキーの倍は疲れるだろう。
 平ヶ岳への最後の登りは見るだけでたいへんそうだが実際は150mほどの高差でたいしたことはない。9時半山頂。名前のとおりのピークで視界がないときは苦労しそうだ。ぐるりと好展望だが新潟方面や会津駒の先には知らない山が並ぶ。巻機山と越後駒あたりは察しがつきそうだ。
 先行スキーヤーはテレマークの若者だった。3時に山の鼻を出てきたそう。これから往路を山の鼻まで戻って1泊するという。
 
登るテレマーカーと下ってくる登山家

平ヶ岳から南

 30分ほど山頂でのんびりしてからシールを外して下山。先に下ったテレマークの若者は豆粒ほどになって遥か先を逃げるように進んでいるのがわかる。
 往路どおりに下る。白沢山への登りかえしでもう一度シールを付けて1894mのジャンクションまではそのまま。1894mからは春のザラメの快適滑降となる。
 暖かいので登りのシュプールは消えている。GPSがなかったらデポ地を探すのはかなり難しいかもしれない。幕営ギア一式を回収してフタマタ沢を下る。尾瀬ヶ原の平まででると、パスカングでスイスイと進むことができる。2時過ぎ山の鼻着。
 鳩待峠までの嫌な登り返しに耐えて3時半終了。早いバスで下山。

 鳩待峠から平ヶ岳を1日で往復するのはかなり大変だとわかった。山の鼻からの往復なら今の自分でもできるかもしれない。鳩待峠の道が開通する前に津奈木橋からマウンテンバイク利用で平ヶ岳ピストンという記録をときどき見るが若い人ならではの好プランだろう。いずれにしてもライトなスキー利用が条件になるだろう。
 お気に入りの白沢道の駅に寄ってのんびりするが、そのまま車泊となってしまった。翌早朝帰京。










 


 

4.21.2015

阿蘇山、九重山、祖母山、霧島山、開聞岳

九州遠征で百名山5山。好天が続けばラクな旅になるが
メンバー 伊藤・記

2015年4月15〜19日  

グレード 祖母山★★
ほかの4山は★
標高 阿蘇山1592m 九重山1791m 祖母山1756m 霧島山1700m 開聞岳924m

●プロフィル
 九州や四国の山行は旅の要素もあって楽しめる。北海道も同様。百名山登山ならではの特典といえるだろう。 
 九州の百名山は5つあって(屋久島宮之浦岳をのぞく)どれも比較的かんたんにピークハントができる。

どれも老若はあるが火山性の山域で独特な景観と植物相が魅力。登山適期は春から初夏にかけての花の季節だがハイカーも増えて混雑することが多い。悩まし
いところだ。
 標高差から見ると祖母山がいわゆるふつうの登山といえるがほかはハイキングにプラスαしたほどの山登りといえるだろう。
まとめて5山制覇をプランする人が多いが、天気に恵まれるかは運。マイカーかレンタカーなど車利用だとなにかと便利だろう。紀行は車で5山を巡ったもの。

●行程 
阿蘇山 仙酔峡ロープウエー駐車場|阿蘇高岳|駐車場(行動3時間)
九重山 牧ノ戸峠|久住山|坊ガツル|長者原(行動6時間)
祖母山 神原登山口|国観峠|祖母山|駐車場(行動7時間)
霧島韓国岳 大浪池登山口|大浪池|韓国岳|大浪池登山口(行動6時間)
開聞岳 開聞ふれあい公園|開聞岳|聞聞ふれあい公園(行動4時間)

●レポート

阿蘇山高岳
4月15日。
遠出の山旅へ。
阿蘇高岳 

10日間予報をみて1週間ほど遅らせたのだがどうなるだろう。朝いちの便で羽田発。琵琶湖から
瀬戸内を過ぎて熊本空港へ厚い雲をくぐってランディング。
 レンタカーを借り出して阿蘇へ向かう。西口登山道で草千里、阿蘇山ロープウエー駅へ。レベル2の火山規制でロープウエーは運休中。観光客は外国人がちらほらで静か。登山口は規制中になっていてこれは事前情報どおり。
天気は午後から回復気味という予報なのでいそがない。

 山腹道路で仙酔峡へ移動。こちらのロープウエーも休業のようで人出はない。ひとり若者が登りじたくをしている。ここから高岳北尾根の往復ルートのみが行動可能のようだ。風が強く山頂部はガス、中岳の噴煙がまともに流れている。レンジャーらしい女性に声をかけられる。風が強いので無理しないように、マスクを持っていとよい、と貸してくれる。
 2時のスタート。高岳にダイレクトに突き上げる尾根ルートで急な岩場が続く。強風でよろよろしながら登っていくがすぐに若者に道を譲ることになる。噴煙のせいで目がちかちかしてノドもへん。マスクが役に立つ。八ヶ岳赤岳の登りのようなかんじ。山頂部は雪が残っていて雪山モードになっている。
 肩からはわずかなトラバースで山頂。高岳の旧火口が広がっていて噴煙を上げる中岳火口も見ることができる。
 登り以上に歩きにくい下降だが往路どおり下って5時前終了。スピード登山だった。
 麓のアゼリア21温泉に寄って久住高原の長者原へ移動。大きなパーキングだが車は少ない。

九重山
長者原のビジターセンター
久住山

4月16日。 
 星空だったが朝は高曇り。三俣山など釣鐘状の山々がよく見えるがそのうちに雲が下がってきてしまった。雨にならないことを願う。
10分ほどのドライブで牧ノ戸峠へ移動してスタート。今日も風が強い。ガスで視界もなさそうなので久住山頂往復でいいか。雨が来たら引き返そう。7時に歩き出す。
 登り始めは急な階段が続くが、尾根上に出ると緩い起伏でどんどん先に進むことができる。その分、道はぬかるみで、このあいだの残雪も混ざって泥濘状態。数人とすれ違う。視界は100mほどか。
 山頂近くで若者と少し話す。もうれつな強風で倒されるほどだが帽子もかぶらず元気。9時、展望のない山頂にタッチして往路を戻るが風は相変わらず。天気がよければ、このあたりいくつも小さな火山と火口があって面白いところなのだが。またこよう。

 法華院温泉に下る周回ルートが風もないだろうと分岐で北千里へ下る。
 北千里は大陸の砂漠を思わせる荒涼とした火山地形で面白い。スガモリルートを左に分けもう一段下って法華院温泉着。大きな山小屋。
 坊ガツルの平から雨ヶ池越えで長者原に戻る。雨ヶ池までの登り返しが長く感じた。数人のハイカーとすれちがう。1時終了。2時のバス待ちのあいだビジターセンターを見学。日田バスで牧ノ戸峠に戻って車をピックアップ。長湯温泉道の駅に移動。

祖母山
祖母山


4月17日。 
 いつもどおり日の出のころ始動。九州のまん中、田舎町をぬけて春の祖母山麓へ。長湯から2時間で神原の登山口駐車場に達する。車は1台もない。
 7時スタート。祖母山へは四方から登山道があるが、神原ルートは少し長いがポピュラーなもののひとつ。道も明瞭で道標も完備。ちなみに登山家ウエストンは明治
23年に宮崎県の高千穂町側から祖母山に立っている。同じころ阿蘇、韓国岳、桜島(!)にも登っているそう。

 千曲川源流のような渓谷沿いの新緑の道を上がる。5合目避難小屋を過ぎ神原川を渡った先から急坂となって広葉樹と照葉樹の森を登ってゆく。尾根上の道で、はるか左の頭上にピークが見える。あれが祖母山山頂か。標高差は1000m以上あるようだ。
 国観峠の平で急登は一段落。緩い勾配で雑木の森を登る。11時前に山頂。数人がのんびりしていた。展望のよい頂で、昨日の九重山、煙を上げる阿蘇山、おとなりの傾山、そのほか雲か霞のような山々が見える。往路を戻って2時終了。となりにそっくりのレンタカーが停められていた。

 南へ、鹿児島県へ移動しよう。いったん熊本へ戻り九州道で横川ICへ。横川温泉センターに寄る。九州の温泉は内容がよくて安いのが素晴らしい。霧島神宮近くの霧島道の駅泊。

霧島韓国岳
韓国岳山頂

さらに南下するよ

桜島から鹿児島へ

4月18日。 

 霧島道の駅から温泉街を抜けて大浪池登山口まで上がるのに30分もかからない。駐車場には車が1台。6時半スタート。遊歩道を小1時間も上がると大浪池に出る。まん丸い池とその先に肉まんのような韓国岳が見えた。火口縁を行く。絶壁から見下ろす青い火口湖は新鮮だ。足元には小さな春の花が咲き競っている。大浪池は本来大浪池火山というべき火山で韓国岳のおまけではないという。

 いったん少し下って韓国岳への登にかかる。木製の階段がえんえんと続くので歩きにくい。登山口からの標高差は600mほどだがそれ以上に感じるかもしれない。山頂まではミヤマキリシマなどの灌木帯で見晴らしがいい。右手の先に低いが鋭くそびえているピークは高千穂峰、その手前の大皿のようなクレーターが新燃岳だろう。

大皿からは湯気のような噴煙がいく筋か上がっている。火山規制レベル2の山で今は近づくことはできない。
 韓国岳山頂9時半着。数人のハイカーがのんびりしている。山頂は大きな火山礫がころがる岩山。山頂から北側は絶壁になっていて巨大な釜が口を開けている。直径130m、深さ300mほどの湯呑みのような火口。 下山は大浪池の西の火口縁を辿る。

のんびり下って12時前に終了。駐車スペースは満杯になっていて道路脇に停めている車も多い。大浪池は人気の観光スポットのようだ。
 霧島神宮を少し見てから南下。指宿方面を目ざす。大隅半島を下って桜島港からフェリーで海を渡り鹿児島港へ。さらに錦江湾沿いに南下して喜入の道の駅着。ここには温泉センターもある。

開聞岳

開聞岳の山道

池田湖
開聞岳公園から

4月19日。

 日の出のころ喜入からさらに南下。池田湖を見てから開聞町へ。正面に開聞岳を見上げるようにして坂路を上がる。立派な登山者駐車場(開聞ふれあい公園)があって、お仲間か、そっくりのレンタカーが2〜3台あってドライバーつまり百名山ハンターはもう出発したあとのよう。開聞岳は山頂部がガスに包まれている。雨のこないうちに登って帰ってきたいものだ。

 7時スタート。うっそうとした照葉樹のジャングルの中、深く掘られた道形を辿る。開聞岳の登山道はこれ1本だけで大昔から歩かれている山道らしい。道脇にはシダの類が多い。屋久島の山と似ているかもしれない。

 スコリアの砂利道から大きな火山礫の転がる歩きにくい道を辿る。開聞岳火山の噴火と池田湖火山の活動は連動しているとか。池田湖は大きなクレーター湖なのである。
 
 合目が正確に案内されていて、5合目でようやく海を見ることができた。山頂までジャングルが続くこの山はあまり展望は期待できない。ガマンの山と言えるだろう。
 山頂部に行くほど傾斜がきつくなって、最後は岩登りのようになって頂上に達する。9時半。頂は麓にある枚聞神社奥宮だというが別に赤い鳥居を持つ御嶽神社もあった。皇太子殿下も登っているようだ。
 視界のない山頂と強風で早々に下山。人気の山とあってこの天気だというのに10人ほどの登山家と遭遇した。

 近くの山川町ヘルシーランドで温泉、予約してあった指宿のユースホステルに入る。あと2日間ほど余裕があ
るので天草あたりをドライブしながら熊本へ戻るつもり。
知覧

教会

天草へ

海きれい

熊本城 このあと地震


●アドバイス1
・阿蘇山はいつも火山活動による規制がし
かれていて、以前のように長い縦走コース
を歩くことができない。レベル2規制の場
合、仙酔峡ロープウエー下駅からの高岳往
復ルートしか選べない。規制レベルがしば
しば変わるので事前に情報を得ること。ア
ナウンスは地元市町村、気象庁などのホー
ムページで知ることができる。
・九重山(久住山、中岳)は牧ノ戸峠から
ピストンするだけなら4 時間ほどの行動
時間ですむだろう。ルート中にとくに危険
なところはない。

●アドバイス2
・祖母山は、レポートの神原ルー
トは標高差1000 mほどあるがと
くに危険なところはない。宮崎県
側の高千穂町からの北谷コースも
人気がある。往復5 時間ほどの行
程で最短。
・霧島山はこのところいつも火山
活動による規制がしかれていて、
以前のように広く歩くことができ
ない。韓国岳は、えびの高原ビジ
ターセンター駐車場から韓国岳と
大浪池を周回することもできる。
行動時間は6 時間でかわらない。

●参考
・阿蘇山の仙酔峡ロープウエー
駐車場へは、九州道熊本IC から
国道57 号経由。豊肥本線宮地
駅からタクシー利用。
・九重山牧ノ戸峠駐車場へは、
九州道熊本IC から国道57 号経
由または大分道日田IC から国道
212 号経由。やまなみハイウエ
イ沿いである。久大本線豊後中
村駅から日田バスの便がある。
・祖母山神原登山口駐車場へは、
九州道熊本IC から国道57 号で
竹田市経由。豊肥本線玉来駅。
・霧島山大浪池入口駐車場へは、
九州道えびのIC からバードライ
ン経由。最寄駅は日豊本線霧島
神宮駅でタクシー利用。
・開聞ふれあい公園へは、九州
道鹿児島IC から国道226 号経
由。最寄駅は指宿枕崎線開聞駅。
・各山の近辺に道の駅と温泉施
設があるので車泊派はラク。
取材 2015 年4 月15 〜19 日

4.14.2015

日原峠と土俵岳

日原峠と土俵岳

古道と峠と小菅温泉


2015年4月12日 
棡原(ゆずりはら)エリア日原の春

日原峠

member 太郎 伊藤フミヒロ記 



天候 晴れ

 しばらく菜種梅雨のよう。東京は日照時間が少なく記録的とか。この日曜日は好天だというので出かける。
   甲武国境の笹尾根シリーズの続きで今回は日原峠と土俵岳を見てみたい。
 早出して上野原の棡原(ゆずりはら)エリアへ。前回、ハイカー用パーキング?を見つけたのでそこへ。新山王橋バス停のそばで甲武道の路肩。

 丁度上野原からバスがやってきてハイカーが数人降り立つ。マイナーなルートだと思っていたが日曜日とあってそれなりの人出だ。棡原というのはこのあたり一帯の名称らしく、村の名は猪丸とか日原とか椿、用竹など。好天で春の花々が咲き乱れ爛漫の里景色。日原は南斜面の日当たりのいい集落できれい。このあたりが長寿村だといわれるのもなんとなく納得。

  9時スタート。日原の村からは峠道が2本あって、民宿長明館、愛宕神社経由の道ともうひとつ西側の山道があるようだ。愛宕神社は春祭りの幟がはためいている。なりゆきで登って西側の道に入る。杉植林の中の道をゆるいジグザグで登っていく。大正時代の馬頭観音があって古い峠道だったことがわかる。2つの道が合わさり、雑木の森に変わり、勾配が緩くなると峠はすぐ。2時間もかからずに笹尾根上の日原峠着。
 可愛いお地蔵様がいて数人のハイカーが記念写真を撮っていた。笹尾根だから標識なども完備されている。古道はここからさらに北へ、檜原村の人里(へんぼり)に下っているようだ。かつては人馬と物資の交流があったのだろうが今はハイキングの道として辛うじて生き延びているようだ。
 日原は奥多摩の日原(にっぱら)が有名だが日原峠の日原は今朝登ってきた棡原(ゆずりはら)の日原のこと。
 笹尾根を北へ、土俵岳までは30分もかからない。11時。山頂なら土俵の意味がわかるかと期待していたが明答はなかった。さらに先に向かってみるが笹尾根に大きな変化はなくひと休みしたところから戻る。人気の笹尾根ルートなので数人のハイカーと行き違う。
棡原(ゆずりはら)小学校から笹尾根を見る

大正時代の馬頭観音

きれいな山道が続く

笹尾根を細切れに歩いた

 日原峠からいくつかコブを越える。車の音が聞こえる。足下深くに甲武トンネルが貫通しているはず。見下ろすと秋川の流れと建物がいくつか見える。わずかな距離で浅間峠着。前回、栗坂峠経由で訪ねたところなので休憩なしで棡原に下る峠道に入る。よく手入れのされたスギ造林の急斜面にうまく道が付けられている。やはり馬頭観音がいくつかあった。しばらく下ったところで急造りの林道になって古道の面影は消える。沢伝い緩く下るとすぐに甲武道に出た。この下りではだれにも会わない。車の行き交う新道を避けて旧道を行くとすぐに車が見えた。2時終了。

(日原峠へは、昭文社の地図によると、新山王橋のバス停で降りたら、旧道にかかる橋の脇から細道を登るとよい、と書かれていた。古い通学路らしくそのとおり登ると棡原小学校に出る。八重山トレイルと書かれた小さな案内板が目印。車道を辿るよりもいい。八重山とは710mピークのことだろうか)
(上野原市がきもいりの八重山トレラン大会についてはここ。今年も6月の行われるというのでその日だけはこのあたりと笹尾根へ行かないのがよさそうだ)

(想像だが、日原から峠へ登る2本の道は夏冬で使い分けたのかもしれない。人も馬も、夏は涼しい西側ルート、冬は東側ルートという風に。少なくとも積雪が多いときは西側ルートは使わなかったのではないか)
開業まもない小菅の道駅

 時間があるので鶴川沿いに棡原をドライブ。きれいな田舎道でさかのぼるほどに雰囲気もアップ。鶴峠まで上がったついでに小菅の温泉へ。温泉の横に道の駅があって先週オープンしたばかりとかでやたらにぎやか。青梅側から来ている人が多そうだ。小菅はなにもないけどいいところ、というのがキャッチコピーらしい。温泉で休んでいるうちに帰るのが億劫になってきた。で、楽しい車キャンプ。翌日帰京。帰路は秋川に回って数馬、五日市とも考えたがカーナビと相談して素直に来たとおり上野原経由を選ぶ。甲武国境越えの山岳ドライブは平成の時代でも厳しそうだ。

 

4.07.2015

栗坂峠と熊倉山

栗坂峠と熊倉山

古道と峠と神社
石楯尾神社

棡原から栗坂丸

栗坂尾根の古道

2015年4月6日 

member 太郎 伊藤フミヒロ記 



天候 晴れ

 国道20号を下り上野原に入ったところで、棡原(ゆずりはら)へ、の標識を見て右折。境川沿いの地方道を遡上する。境川は山梨県上野原市と神奈川県藤野を分ける県境の川。源流は旧佐野川村エリアの上岩あたり。生藤山の山腹から流れ出ているようだ。先祖、御霊など珍しい地名のバス停を過ぎる。のんびりした田舎の風景が続く。
佐野川エリアは日本の里100選だが東側のこのあたりには茶畑は見られない。かわりに大きなゴルフ場が広がっていてさみしい。
道脇に蚕影神社とか石楯尾神社があって古い通りのようだ。石楯尾神社に寄ってみる。山門が広く大きくて雨の日でも祭りごとができる独特の仕様になっているとか。

 今日のルートの出入り口、軍刀利神社と小伏の二か所を確認してから、棡原トンネルを抜けて棡原エリアに入る。こちらは鶴川の水系で源は三頭山の鶴峠のあたり。源流まで長い谷が続いている。このあたりの川はいずれ相模湖、相模川に下ることになる。
 別途に棡原からは、山梨から東京都へ抜ける甲武トンネルがあって通称笹尾根と言われる国境稜線の下をくぐっている。東京都側は檜原村で秋川の水系、多摩川上流で奥多摩エリアになる。
 
 今日訪ねる予定の浅間峠、栗原峠はトンネルのできる前の古道で、ほかにも、笹尾根伝いの日原峠、三国峠、数馬峠、小棡峠なども国境の峠でこのあたり峠だらけ。笹尾根は昔からのハイキングルートで近頃はトレランのルートとして人気があるという。長谷川カップも。
棡原は長寿村として知られているようだ。ふるさと長寿館あたりから見る棡原の風景は悪くない。甲武国境のハイキング山を背に日当たりのいい段丘に小さな村が転々としている。サクラのほか春の花があちこちに咲いていて爛漫の様子。

今日の行程、5時間ほど

栗坂尾根から笹尾根、土俵岳

栗坂峠

浅間峠

熊倉山近くのトレラン女子

前ふりが長いがこれは取材用メモ。さてハイキングだが、小伏から栗坂峠に上がって稜線を歩いて熊倉山から軍刀利神社に下ることにする。神社は三国峠、生藤山の登山口で駐車場もあるので逆コースの方がポピュラーだが、栗坂峠道が細道で標識も一切ないというので登りに使うことにする。とはいえ昭文社登山地図には赤線で利用可となっているので問題ないはず。

棡原トンネルの小伏側のスペースに車を置いて村道を上がる。10時。花咲き乱れる春の風景だが日当たりがよく暑い。村はずれの一軒家の庭を抜けるようにして林道から栗坂峠道に入る。古道は馬が行きかっただろうと思わせる凹状になっていて歩きやすいジグザグだが、枯葉が深く溜まっている。一帯はスギの造林。774ピークに芦沢山という手造りの標識があった。山酔会とも書かれている。ここからの下りで少し迷うが道は右に折れているようだ。717mあたりに天保時代の馬頭観音があるというので探してみるが不明(717m下のコル、の沢へ下る道の分岐にあるらしい)。栗坂の丸の西急斜面をまくか細い踏み跡を伝って峠に出る。11時45分。
稜線はそのまま人気ハイキング道で栗坂峠と記された標識もある。傍らの木に小伏へ、という小さな標識もある。国境を越えて東京都檜原村に下る踏み跡があるようだがその先は不明。いずれにしても峠らしい風情はあまりない。

 500mほど北へハイキング道を辿り浅間峠へ。小さな広場になっていてあずまやがあり案内板があり石仏が2本の大杉にはさまれるようにして祀られて、まさに峠の風景があった。その昔は富士山が見えたのだろうが今はスギ林に遮られて無理。様子から見てこちらは昔も今もよく利用されているようだ。とはいえ今日は誰にも会うことはない。

 ひと休みしてランチしてこんどは笹尾根ハイキングルートを熊倉山へと辿る。右手山梨側は立派なスギ造林、左手東京側は雑木林。いくつかコブを越えて1時前に熊倉山。南面が開けていて丹沢、道志、富士山など。
 三国峠へ下る急坂でおじさん一人とトレラン女子二人に出合った。しばらく行くと広場があって軍刀利神社元宮。ひとやすみに丁度いい。ここから神社までは細いトラバース道とその後よく歩かれた急坂ジグザグ道が待っている。
軍刀利(ぐんだり)神社大カツラ

軍刀利神社の刀剣


 軍刀利神社の大カツラは有名らしい。カツラの木らしく複数の幹が束ねられたような大木で味わいがある。神社本殿は新しく天蓋が架けられていて撮影のしようがない。軒先には巨大な木製刀剣がいくつも奉納されていて面白い。参道を下って駐車場を確認してバス道路にでる。2時半。井戸のバス停がある。ここから山村風景を眺めながら舗装路をくねくねと歩いて車へ。3時過ぎ終了。
帰路は下岩からくらご峠を越えて沢井川伝いに藤野へ出て20号に入る。

以下 熊倉山からの展望図