秋の剣岳のクライミング
雪がくる前のチャンスをつかむ
turugi peak
1998-10-3~8
MEMBER KUROKAWA,KAWASAKI,KISYA
10-3
絶好の秋日和。アルペンルート経由室堂。暑いくらいの陽気のなか雷鳥沢の夏道をつ
め別山乗越へ。剣が大きい。秋の色が濃い。昨年はこの時期にすでに雪をまとっていたとい
う。明日もこの天気だとよいのだが。剣沢小屋に3時。2時間おくれで大阪から黒川到着。
10-4
3時に起き、真っ暗ななか剣山荘方面へむかう。途中で爆発してぼろぼろになったテ
ントあり、。そういえばさきほど爆発音がきこえたのはこれだったのか、となっとく。負傷
者はいないようだ。それよりもなによりも、真っ暗で剣山荘に向かう道がわからずうろう
ろ。天気予報に反してあたりは小雨がけぶりヘッドランプのあかりも届かず。1時間以上
かっかって剣山荘着。
ここでしばらく様子をみようと休憩。弁当を食いながら和歌山の砒素
事件の容疑者逮捕のライブをみているうちに明るくなってくる。早起きしてチンネにいくつ
もりだったが、出鼻をくじかれ、剣岳本峰南壁にむかうことにする。7時、雨があがり、ガ
スがはれ朝日がさしてくる。好天だ。
素晴らしい朝日をあびながら南峰をこえ、本峰下に到着、下り気味にトラバースしてA2の
リッジ下の取付きに。用意しているうちにまたもガスがわいてくる。かまわず登り始める。
ややこしいので9.7ミリのシングルロープに3人がはいり、つるべで登る。1ピッチが25
m内となるが短いルートなのでそれでよし。3、4級くらいの尾根をがんがん登る。上部に
行くにしたがいもろい岩となる。11時には頂上についた。よい天気になっている。
「ランデックスみたいだね」とクロちゃんと話す。
シャモニ赤い針峰群の入門者用の岩場だ。7月にのぼった。
縦走路をののんびり下って3時には剣沢の小屋にもどる。シャワーをあび美味しい夕食をいた
だき、あたたかい部屋でテレビをみる。
チンネにいったらこうはいかなかっただろう。この小屋からチンネまで往復するのはちょと
現実的なプランとはいえないかもしれない。「ちょうどよかったね」と納得しあう。
10-5
KAWASAKIが下山。KUORKAWAと二人で源治郎尾根1峰の成城ルートへ。快晴の朝。7時に剣沢
をくだり、クレバスの入った平蔵谷出合いをわたり尾根に取付く。
今年は小雪で残雪が少なく、平蔵も長次郎谷もクレバスだらけで登れないと、小屋の友邦さ
んがいっていたがそのとおりだった。1時間ほどのぼり、成城ルートへのアプローチを見逃
し、1峰直下まで登り、あわてて下りかえす。踏み跡を発見して、取付きへ。
面倒なので50メートルのシングルロープをのぼることにする。1P40メートルのばし、2P
はクろちゃんが行く。スラブっぽい壁を左上、2、3度迷ったが50メートルいっぱいにのば
す。フォローするとハイマツの危ういテラスでビレイしていた。落ちなくてよかった。5.9
はありそうな気がしたから。正しい切れ目ではないようだ。交代して右上、ボルトを発見し
て、今度は左上、テラスをみつけたがそのまま直上、ハイマツをぬけ50メートルのばした
ところで確保点発見。クろちゃんが最後の3級の50メートルを引っ張ると、そこが1峰直
下10メートルのところだった。
源治郎尾根をマツに掴まりながらくだり出合いへ。見上げると1峰がピラミダルで大きくみ
えた。成城ルートもよくみえる。小屋までは1時間強のしんどい登り返しだった。帰荘3時
すぎ。
取付きまで3時間、登り2時間。帰り3時間。フリークライミングのアプローチを考えれば
やっていられない遠さだが、アルパインクライミングの場合は、アプローチも楽しむのだか
らいいんだね、と話す。
高い山でのクライミングは高難度のクライミングを追求するよりも全過程を楽しむ、山の雰
囲気を感じながらクライミングを楽しむのがいいね、とぼくも思った。
10-6
なんと今日も快晴。奇跡の4日連日好天。毎日晴れていては体がもたない。朝飯後、下山。
薬師の湯で風呂に入って、大町駅前で飯をたべ、東京帰着6時。剣も近くなったものだ。