8.22.2008

八ヶ岳登山

 八ヶ岳登山

カテゴリ:2008の記録
八ヶ岳縦走 avec 太郎
yatugataketaro

8月22日 金曜日
 4時前に国立ICから中央道に入る。深夜割引。小淵沢で降りて棒道(八ヶ岳スカイライン)経由美濃戸へ。八ヶ岳山荘駐車(1日1000円)。0715スタート。太郎もいっしょ。北沢を2時間ほどで赤岳鉱泉。山がよく見える。さらに2時間ほどで硫黄岳山頂。西風が冷たい。山の花はもうおしまいモードで、リンドウやコマクサ、イワギキョウなどが目立つ。半ズボンできてしまった。
 山頂下大ダルミで、向こうからぼくの影武者のような人がやってくる、黒虎の甲斐犬を連れた人。珍しいと写真を撮りあう。知らない人が見たら区別がつかないことだろう。平日とはいえ登山者は少なくない。犬連れはこの人だけ。
 ハシゴ、クサリ場をうまくやり過ごして横岳縦走。流れるガスに見え隠れする赤岳の様子がよい。赤岳山頂直下で雨具上下を着込む(ズボンは車に忘れてきたのだった)。山頂3時着。ガスが湧いている。山頂小屋前のベンチで休む太郎はちょっとした人気者だった。文三郎の下り始めも横岳のトラバースの劣らず太郎にはやっかいだった。行者小屋で一瞬のぞいた斜光の横岳西壁がよかった。
 南沢の下りはいつも長い。1時間半ほどかかって駐車場着0600。日の入り前30分だった。10時間余の行動時間。太郎はそれほど疲れた様子はない。雷も夕立もなくてよかった。
 犬はハシゴを上り下りすることはできない。脇の岩場を通過するのだが、ところどころではうまく抱えてやり過ごすこともある。横岳、赤岳は犬連れ一般にはすすめられない。
「甲斐犬!」と20人くらいに言われた。「ナニ犬ですか?」と10人くらいに聞かれた。
伊藤フミヒロ

8.09.2008

高妻山と高社山

カテゴリ:2008の記録
takatuma
8月9日
前日は東京猛暑の日。午後スタート、東松山から軽井沢と高速で、小諸であぐりの湯に入って、菅平こえたところで眠くなって須坂で車泊。戸隠キャンプ場、戸隠牧場に6時過ぎ着。キャンプ場はおおにぎわい。
7時ころ出発。絵のような牧場を抜けて行く。大洞沢沿いに一不動。氷清水で水補給を忘れた。
尾根を行くようになる。行く手左に高妻山がそびえている。人通りは少ない。ときどき谷から吹き上げる風が涼しいが尾根道は暑い。五地蔵1998mからは黒姫、妙高、焼山など頚城に山がよく見える。
コブをいくつも越えて、もうれつな急登の後高妻山到着、1245分。スキーで昔のぼった乙妻山がすぐそこ。
下りは早い。五地蔵まで1時間、500mlの水がなくなる。雷が鳴り出してひやひや。夕立にはならず。氷清水で水分補給。水はほんとうに冷たい。4時前にキャンプ場。暑い日の9時間行程でトレーニングになった。
杉の沢の苗名の湯450円に入って飯山豊田の道の駅へ。
7月10日
木島平のスキー場でパラ仲間と合流、高社山を縦横に飛ぶ。2フライトで合計2時間余。馬曲温泉で汗を流し、童夢で飲み食い。翌早朝帰京。
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8.01.2008

富士山ウイーク

 富士山ウイーク

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富士山ウイーク

7/31木~8/1金
昼下がりに東京を出てそのまま富士宮口5合目へ。空いている。登り口の階段直下に車を停める。たしか4時頃登り始める。天気はいまいち。9時過ぎに眠くなったので、9.5合目の道端でビバーク。登山者はこの時間ぜんぜんいない。夜中に小雨あり。3時頃スタート、4時山頂。意外と悪くないご来光を見ることができた。お鉢を歩いて吉田口山頂へ行ってみる。北口吉田浅間神社奥宮久須志神社のご朱印をいただく。神主やらアルバイトでおおにぎわい。1000円。写真を撮りながら富士宮に戻り、富士宮本宮奥宮浅間神社をのぞく。神主ひとりでさみしい。あっちは親せきのようなもので、こちらが本物と後朱印をみせてくれる。浅間神社奥宮とある。北口(吉田浅間)とは異なる朱印。
往路を戻る。富士宮市親子登山など大規模な集団が多い。12時ころ車に戻る。
8/2土
早朝、山中湖畔で富士山の撮影をするがヘイズがかかって使えないカット。天気がよさそうなので双子山ハイキングへでかける。明日は富士駅伝とのことで自衛隊などがにぎやか。3時間ほどかけてハイキングルートをひとまわりするが、人っ子ひとりあわず。午後大平山へ行ってパラグライダー。風が弱く3回も藪に突っ込む。夜河口湖のショップでパラ仲間と飲む。ショップでビバーク。
8/3日~8/4月
今日も好天らしい。そうだ須走から富士山へ登ろう、と思い立つ。アザミラインを車であがる。日曜日の昼だというのに渋滞あり。12時に登り始める。山がよく見える。のんびり登って山頂には19時半に到着。ウエストンは須走りの町から山頂まで健脚なら7時間と書いている。昔の人は足が丈夫だったんだなあ。
山頂の食堂は閉められていてほかの人影なし。山頂は夜7時ころから翌2時、3時までは人影がないということがわかった。神社並びに最適スペースをみつけ寝袋ビバーク。快適睡眠が取れた。3時前に人がウンカのように湧いてきて山頂は初詣のような人ごみとなる。今年3度目のご来光は素晴らしいものだった。須走りの下山路には砂走りがあり、あっというまに下ってしまう。多くの人は「歩きにくい」といいながらこわごわと下っているようで、砂走りの醍醐味なし。若者二人にこうやって下ってみて、とお願いして撮影するが、いまいち。昔の人はこんな道には慣れていて喜々として下ったのではないだろうか。
時間が早く山がきれいにでているので小富士ハイキングルートに入って1時間あまり撮影する。
今シーズンは春に5回、夏に3回富士山に登ったことになる。しばらく登ることはないかもしれない。
夏の富士登山のベストプランとしては、最終の須走ルートがおすすめということになるだろうか。登りは長いが、下りがらくらく。吉田口とあまり変ることがなさそうだ。御来光プランとしてもよいし、日帰りでも意外と苦にならない。
伊藤フミヒロ
動画ゆちゅうぶにございます。
●goraiko movie
http://jp.youtube.com/watch?v=uhIEpR8vprk
●night hiking movie
http://jp.youtube.com/watch?v=QqwI5M7Trhk
●砂走りmovie
http://jp.youtube.com/watch?v=_JvQJ9a_jyE

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7.25.2008

1泊2日の北岳登山

 1泊2日の北岳登山

カテゴリ:2008の記録
仙丈ヶ岳~北岳



7月25日
朝、山中湖の別荘を伊藤さんと二人、3時に出発。
途中、コンビニで買い出しをして、4時50分に芦安市営駐車場に到着。
運良く、一番の乗り合いタクシー(1100円、マイカー規制協力費100円)に乗車でき、
5時10分、バスよりも一足早く芦安駐市営車場を出発。
広河原には5時50分に到着。準備を整え、6時20分に出発。
吊り橋を渡り、しばらくで白根御池と大樺沢の分岐となる。
沢沿いの道をとり、ゆるやかに登っていく。


北岳登山


樹林を抜けると、まぶしいほどの雪渓と北岳バットレスが眼前に広がる。
雪渓を少し登り、8時55分に二俣に到着。
二俣から右俣コースを登っていく。徐々に傾斜がきつくなり息が上がるが、
シナノキンバイやハクサンイチゲ、クロユリ、イワカガミ、ヨツバシオガマなどの花畑が目を楽しませてくれる。
途中、御池からの道を合わせ、11時50分に稜線に出る。
南アルプスの女王とも形容される雄大な仙丈ヶ岳、ひときわ男性的な山容の甲斐駒ヶ岳、鳳凰三山が見事に展望できる。
稜線から30分ほどで肩の小屋に到着。サイダー400円を飲み、お昼を食べながら大休止。


北岳山頂部と間ノ岳.JPG



12時50分、肩の小屋を出発。撮影をしながらのんびり登り14時に北岳山頂に到着。
日本第2位の高峰、3193mの山頂はけっこう広く、多くの人で賑わう。
山頂から一気に下っていくと間もなく八本歯のコル。
このあたりも花が多く、岩間に、ヤマオダマキやイワギキョウ、ヤマハハコなどの花も見られるようになる。
さらに稜線をたどり下っていくと、15時35分に北岳山荘に到着。
金曜日ということで、思ったよりも山小屋は空いており、一人一枚ずつの布団で寝られる(夕飯、朝弁当付き7900円)。
小屋の人によれば、「明日土曜は1枚に2人になるでしょう」とのこと。
やはり、夏ハイシーズンの北岳は山小屋も大混雑のようだ。


北岳の朝


7月26日
風の音で3時頃、目が覚める。かなりの強風。窓の外もガスで星が見えない。
3時半頃、起床し静かに出発準備。4時に部屋を出て、朝弁当をもらい、水を1リットル購入(100円)。
4時30分、深いガスのなか、間ノ岳、めざし出発。
相変わらず風は強く、服の裾がバタバタとなる。嵐のような風で秒速10mぐらいはありそう。
その分、あっという間にガスが切れ、一瞬で太陽や稜線が覗く。
かと思うと、また雲間に隠れる。途中、岩陰で太陽を拝み、移りゆく朝の山上を撮影。
5時30分、中白根を通過し、間ノ岳には6時30分到着。
岩陰でガスが切れるのを待ちながら、朝弁当を食べる。
30分ほどすると、これまでずっと山上にかかっていた雲がみるみる掻き消され、
北岳が姿を現す。あまりにもドラマチック。
数分後には、まさに雲散霧消にガスは消え去り、山上はさっきまでの天気が嘘のように晴れ渡る。
富士山も姿を現す。頭をひときわ高く雲上に聳えさせている山容はさすが日本一の高嶺。


間ノ岳より富士山



7時25分、間ノ岳をあとに、三峰岳方面へと下っていく。
眼前に塩見岳が望みながら急下降していくと、30分ほどで三峰岳に到着。
一息入れて、仙丈ヶ岳へと続く仙塩尾根を下っていく。
じきにシラビソの樹林帯へと入っていく。林床にはゴゼンタチバナがきれい。
北岳山荘で熊に注意の案内があったので、カラビナでガチャガチャ鳴らしたり口笛を吹きながら下る。
10時に野呂川越に到着。ここから一気に右へと山腹を急下降していく。
倒木が多く、またいだり潜ったりしながら下ると、10時30分に両俣小屋に到着。
小さな小屋だが、前には沢が流れ気持ちいい。
「ちょっと小梨平のような雰囲気だね」と伊藤さん。

一息入れ、ここからひたすらの林道歩き。日陰がなく暑さが堪える。山上の風が恋しいくらい。
大仙丈沢、小仙丈沢を橋で通過し、2時間弱で、野呂川出合(北沢橋)に到着。
13時05分のバスに広河原行きのバス(580円)にちょうど間に合う。
まだ時間が早いので、山からの下山者は少なく多くは釣り人。

広河原もまだ乗車客はそれほど多くなく、行き同様、乗り合いタクシーを拾える。
タクシーだとバスより20分近く芦安市営駐車場への到着が早いとのこと。
バスとの料金差100円を考えると楽で早い。

下山後は、駐車場のすぐ向にある展望風呂(550円)に入り、ざるそばを食べ、帰路に着く。(レポート=松倉)


7.20.2008

白馬は夏山の王様だ

 白馬は夏山の王様だ

カテゴリ:2008の記録
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7月の3連休。19日に富士山須走5合目でパラ。明日は富士山か白馬か、天気はわからないが太郎を家に置いてきたので白馬へ行くことにする。
2008/07/20 未明2時ころ山小屋出。通勤割引を使うまでもなく下道で白馬に着いてしまった。二股に車を置いてタクシーで猿倉。8時ころ歩き出す。ガスと雲の冴えない天気。大雪渓は人がいっぱい。昨日はもっと多かったとか。小雨になったり、日が差したり、一瞬稜線がみえたり。村営小屋のテント場で1泊。風雨模様だが久しぶりの山テントで面白い。パックは撮影機材込みで12キロあった。工夫すれば10キロにできると思った。
7/21
朝、小屋でお茶しているとガスがどんどん上がって明るくなってくる。カメラをもって山頂へ。素晴らしい光景を撮影できた。テントをたたんで10時ころ南下。お花畑が最高潮の時期。
白馬鑓から大出原、鑓温泉0220。猿倉0530、コーラを飲んでタクシーで二股。山小屋1000帰着。
白馬は夏山の王様だとおもいました。
二股猿倉タクシー乗り合い600円、村営小屋テント一人500円、タクシー下り2000円、猿倉コーラ250円
課題:サーまれスト空気もれ ザックカバー探す、酒と水多すぎそんなにのまね、テント一人用もあるといいか。
伊藤フミヒロ
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7.15.2008

蓼科山

 蓼科山

カテゴリ:2008の記録
tatesina
7/14 山中湖大平山でパラ。荒れていた。諏訪湖に移動、浜の湯旅館で幼馴染と同窓会。
7/15 車山で日光キスゲvideo大撮影。トラックをのぞく人がいるので、載せてあげる。大阪の赤沢さんという人。これから蓼科山へ登りたいという。偶然だが目的地が同じ、大河原峠までドライブ。
小さな山下清風の赤沢さんは車山に登って100名山96登頂達成らしい。70歳だというが10は若く見える。ザックにパラソルを差して地図も持たないその人を先に送り出し、1030ころスタート、昼過ぎに山頂。赤沢さんは山頂にいて竜源橋へ下っていった。甲府から夜行バスで帰阪らしい。同じ道を戻り4時前に大河原峠着。3時間のドライブで山中湖へ戻る。video job .
伊藤フミヒロ

7.10.2008

富士山登山 神保町カレーの会

 神保町カレーの会、富士山登山

カテゴリ:2008の記録
asanohujiann
パウダーガイド社本社からの富士山


7月10~11日
15時に北口本宮富士浅間神社に、神保町カレーの会の面々(伊藤さん、川崎さん、塩浦さん、秋野さん、松倉)の5人が集合。
浅間神社を参拝してから、スバルライン(2000円)で5合目へと上がる。平日とあり、駐車場はガラガラ。
荷造りをして、伊藤さんが荷物を計測。塩浦さん5kg、秋野さん7kgと二人は優秀なパッキング。
伊藤さんが10kg、松倉12kg、川崎さんはカメラなどの装備があるため17kgと重め。
小御岳神社を参拝し、16時50分に出発。
六合目へと向かう途中にはフジハタザオが花を咲かせている。
ダケカンバやカラマツの樹林を抜け、しばらくで登山指導センターのある六合目となる。
一息入れ、ここから森林限界の中を登っていく。
19時半すぎまではヘッドランプなしで歩る。太子館に20時20分に到着。
ここでしばらく休み、21時45分頃、白雲荘に到着。
秋野さん、塩浦さん、松倉の3人は白雲荘に泊まる(素泊まり5500円)。
伊藤さん、川崎さんは少し歩き、ツエルトビバーク。

hujisantozan


翌朝2時に起床。身支度を済ませ、2時20分に出発。
白雲荘の小屋の人によれば、1時がここを通過する人のピークだったとのこと。
つまり、ここを1時過ぎに通過できれば、山頂での御来光にちょうど良いようだ。
ヘッドランプをつけてゆっくりとしたペースで登る。
9合目の鳥居を過ぎたあたりで御来光となる。
雲間から一度、太陽を覗かせるが、すぐに雲の中に。それでも、雲海がオレンジ色に染まり、富士の朝を見事に演出。
伊藤さん、川崎さんに遅れ、5時20分に全員が山頂に到着。
山口屋支店で1時間ほど休む。ちなみに缶ココアや缶コーヒー400円、ラーメン800円。
山頂から暑中見舞いを出す(葉書と切手代で1枚250円)。
1時間ほど休み、お鉢めぐりをする。徐々に上空の雲が晴れてきくる。
剣ヶ峰には7時10分に到着。展望台からは南アルプスがよく見えた。
20分ほど休み、7時半に出発。お鉢一周、休憩含め約1時間10分。
少し休み、準備の済んだ者から順次下山。
私は8時20分に下山開始。それぞれのペースで行く。
長い下りはけっこう膝に来る。全員、無事11時30分に五合目に到着。
下山後は「紅富士の湯」で汗を流し、パウダーガイド社の本社で打ち上げ。(レポート=松倉 )

goraiko movie
http://jp.youtube.com/watch?v=cp56qdCUpfY


以下
一般誌紙依頼原稿もと
 
富士登山の魅力 伊藤フミヒロ(登山家)

 毎年、富士山に登るようにしています。自分のカラダの調子や変化がわかります。トレーニングにもなります。なによりも日本一の山頂に立つことは楽しいし、達成感があるのです。先シーズンは、初めて富士山に登るという知人二人と、よく山に行く仲間、計5人で登りました。中高年男性ばかりのグループです。
 7月の初旬、富士山には雪渓が残っています。昼過ぎに富士スバルラインの終点(ここが富士吉田口ルートの五合目です)をスタート。5時間ほどかけて八合目の小屋に夕方着きました。ここで夕食をいただき仮眠、夜中の1時には起きて再スタート、真っ暗な中、ヘッドランプを点けて、山頂を目指します。4時には山頂に立ち、御来光を眺めることができました。天気予報を見て行ったのでおおむねよい天気でしたが、御来光ばかりは完璧なものを見るのはむずかしいようです。この日は地平線にうす雲が広がり、雲の中からぼんやりと朝日が昇るという感じで、80点くらいの出来だと思いました。初めて登るという二人は65歳と55歳でしたが、いっしょに行動することができ、日の出を見てとても感激していました。

●高齢者が登る
 この夏は富士登山する人が多く、35万人ほどだったと新聞報道されていました。毎年増加傾向とのことです。周辺の様子を見ますと、やはり中高年が圧倒的に多いようです。中高年の登山ブームは今に始まったことではありませんので驚くことはないのですが、富士山では70~90歳くらいの高齢者も多く、山頂の浅間神社には記帳所があって、そこには99歳とか100歳とか、びっくりするような記録がありました。
ちょっと古いデータですが、平成18年度の記録では、70歳以上で富士山に登り、記帳した人は937名、最高齢は100歳1名。90歳代が10名、80歳代は117名となっています。女性の最高齢は93歳となっていました。また81歳の男性で通算366回も登っている人がいるとも書かれていました。高齢であることは富士登山にとって励みでこそあれ、足枷になるようなものではないと思えてきます。私見ですが、登山は老人に向いているスポーツだと思います。こつこつと忍耐強く歩みを続ければ山頂に立つことができる、経験深い老齢者にぴったりの趣味といえるでしょう。
 中高年についで目立つのが子供たちです。小学校生くらいの子供がたくさん登っています。親がついていますので、ファミリー登山です。みなさん元気に山頂に立っています。八ヶ岳や北アルプスなどではあまり見られない光景です。
 10代、20台の若者が多いのも富士登山の特徴です。実は他の山(前述の八ヶ岳や北アルプスなど)では意外と若者が少ないのが登山界の今日このごろなのです。元気な学生や社会人が最新のアウトドアウエアやシューズでグループで登ってくる光景は見ていて気持ちのよいものです。
富士登山がブームというのはどうやら本当のようです。日本一高い山に登りたいという気分は大方が理解できるものです。富士山は日本一高い山であると同時に日本一大きな山です。山頂の大きさは実際に登ってみないとわかりませんが、爆裂火口のお釜などは恐ろしく壮大なものです。日本一有名な山、富士山はまた間違いなく登山客数でも日本一です。いちばん高くて大きくて有名な山こそが富士山、というわけです。

●どうしてみんなが登るのか
 なぜ人が富士山に登るのか。日本一高い山に登りたいから富士山に登るというのでは、答えになっていないようです。日本人は昔からきれいな形の富士山が好きなのだ、と説明する学者もいます。古くから宗教的な遥拝登山の伝統があって(富士講が有名です)それが今も続いているのだ、という人もいます。御来光を見たいからという人は多いようです。半数以上の人が、夜間登山して山頂からの御来光を眺めます。ドラマチックな自然のショーは確かに見るに値する素晴らしいものです。いくつかの理由があって富士山に人がやってくるのですが、私の見聞から想像すると、多くの人は、友人や仲間、家族、親せきと、お祭りに行くよう感じで、富士山に登ってくるのではないか、と思えます。この夏いっしょに登った仲間も「一年に一度はお参りしないとね」などと言っていました。
 年寄りが多く、こどもがたくさんいて、若者もいっぱい、と申し上げましたが、それじゃ、みんな多いんじゃないか、と思われる人もいるでしょう。それほどたくさんの人が登っているということなのです。さらに言えば、外国人がまたやたらと多いのが富士登山です。5人に一人は外国人ではないかと思えることもあります。山頂などでは各国語が飛び交い、国際的な雰囲気があふれます。日本人に限らず富士山は人をひきつける魅力があるようです。
 富士山に最初に登った外国人はイギリス人です。初代公使のサー・オールコックです。万延元年ですから江戸時代のことです。日本アルプスの父と言われるウエストンは3回も富士山に登っています。春の残雪期の方が上り下りがラクだと言っています。宗教登山でなくスポーツの一環として富士山を登った最初の人たちです。どちらもこのときの登山記を英国で出版していて、翻訳を文庫本で読むことができます。

●富士山の魅力
 遠目には端正な山容も近づいてみれば、崖あり谷ありの荒々しい地形であることがわかります。その群を抜いた標高は、息を切らせながら登る人だけが実感できる感覚です。空気が薄いことが身にしみてわかるのです。山頂に立てばその展望に驚きます。伊豆半島から日本海側の山々まで、本州を縦断する眺めを得ることができます。山頂で口をあける巨大なお釜は、そこに立った人にしかその姿を見せることはありません。オンタデ、アザミ、ハタザオなど火山砂礫帯に可憐に咲く草花も、足で歩いて訪れる人だけが発見できる自然の営みです。
 自分の足で歩いて山頂に立った人は大きな満足感を味わうことができます。山頂に達したときの「やったー」「登ったよ」など単純な言葉に思いが込められているようです。達成感は喜びにかわり、大きな自信にもつながっていく、と解説している人もいます。
 富士登山の魅力は登った人だけが知ることのできるもの。言葉ではうまく言い表せない「サムシング」ということでしょうか。
 
●登頂のためのアドバイス
 富士山に登ってみたい、と思っている方は、富士山に登ることができます。私は登山ガイドではありませんが、長年、富士山に登って、いろいろな方を見て、そう言うことができます。富士山なんか登りたくない、という人はやはり登れないでしょう。「登りたい!」というモチベーションが基本なのです。あとはいかにラクに登るのか、というコツだけ知っておけばよいでしょう。
 そのコツもまたシンプルなものです。それは、できるだけゆっくり登る、ということ。小さい歩幅で時間をかけて登ること、それが富士登山の秘訣です。それから、天気のよい日に登ること、できれば週末やお盆などの混雑時を避けるのが幸福な富士登山を達成するもうひとつのコツと、当たり前のことですが、付け加えたいと思います。